『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2021年9月号
- 出会い・本・人 「試験問題」から生涯の愛読書へ 前川裕
- 特集 「原発問題」を学ぶならこの三冊! 久保文彦
- 本・批評と紹介
- P・リクール、A・ラコック 著/久米 博、日髙貴士耶 訳 『聖書を考える』 (大貫隆)
- 朴 憲郁 著 『[増補改訂版] パウロの生涯と神学』 (廣石望)
- 山崎龍一 著 『教会実務を神学する』 (古賀博)
- 越川弘英 著 『キリスト教史の学び(下)』 (村上みか)
- 菊地 順 著 『M・L・キングと共働人格主義』 (松本敏之)
- 黒川知文 著 『マックス・ヴェーバーの生涯と学問』 (千葉眞)
- 坂本雄三郎 著 『実践 教会役員』 (清重尚弘)
- 牧ノ原やまばと学園50年誌編纂委員会 編著 『それでも一緒に歩いていく』 (阿部志郎)
- 崔 炳一 著 『キリスト教ビギナーズ』 (村瀬義史)
- 木下裕也 著 『岡田稔の神学』 (松田真二)
- 富坂キリスト教センター 編 『100年前のパンデミック』 (山口陽一)
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編集室から
福音書で主イエスは「子どもたちを私のところに来させなさい」と言って招かれた。なぜ主は、子どもたちを愛されたのだろうと思いながら、遊びまわる四歳の一人娘を私は見つめている。
娘はまだ幼くても、広々とした心を持っている。教会付属の保育園に遅くまで残っていた日の帰り際、会堂に立つ十字架を見上げてこう言った。「神さまってすごいものだねー。みんなのために十字架にかかったんだねー、感動した!」。
神の救いをめいっぱいに心に受け入れる、そんなさわやかな信仰の発言を聞いて、「神の国はこのような者たちのものである」という御言葉が、よくわかるように思った。その素直さに比べて私の信仰は、毎日さまざまな心配事にどんなに押し潰されがちで、窮屈になっていることか。
創世記一七章一節で、神はアブラムに「わたしに従って歩み、全き者となりなさい」(新共同訳)と言われた。この「わたしに従って歩み」は原文では「私の顔の前を歩みなさい」なのだと、昔、神学校の旧約の授業で教えていただいたことを、ふと思い出した。確かに、聖書協会共同訳ではこの部分は、「私の前に歩み、全き者でありなさい」に変わっている。
神の前に歩む──神の視界の中で生きるということならば、子どもも大人も変わらないのではないかと思った。年を重ねても、時に擦り切れたような自分の信仰を情けなく思うとしても、キリスト者は皆、罪赦された神の子どもたちなのだから。子どものように、御顔の前で遊びまわるようにほがらかに、日々を過ごしたいと願う。(石澤)
書き手
キリスト教文書センター
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