『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2022年1月号
出会い・本・人
私たちは人生で、何冊の本を読めるのだろう(大石周平)
特集
詩と詩編にふれるなら▼この三冊! (横山良樹)
本・批評と紹介
- 『ひと時の黙想 全き心を求めて』ストーミー・オマーティアン 著/日本聖書協会 訳 (吉川直美)
- 『ひとりで死なせはしない』関野和寛 著 (石丸昌彦)
- 『主はわたしの羊飼い』マルティン・ルター 著/金子晴勇 訳 (大島征二)
- 『子ども、本、祈り』斎藤惇夫 著 (笹森田鶴)
- 『アナキズムとキリスト教』ジャック・エリュール 著/新教出版社編集部 訳 (塩野谷恭輔)
- 『ユダよ、帰れ』奥田知志 著 (関田寛雄)
- 『東西の霊性思想』金子晴勇 著 (片柳榮一)
- 『人はどこから来て、どこへ行くのか? 』河野勇一 著 (山口希生)
- 『三訂版 ウェストミンスター信仰規準』松谷好明 訳 (青木義紀)
- 『敵対から共生へ』ジョン・ポール・レデラック 著/水野節子、宮崎誉 共訳/西岡義行 編 (久保木聡)
- 『神学は語る パウロと律法』ヴェロニカ・コペルスキ 著/澤村雅史 訳 (浅野淳博)
編集室から
新型コロナウィルス感染者の、減少傾向が報道される中でこの原稿を書いている。
吉本ばななが公の場で発表する文章は、どんな状況であっても前向きでなければならないと言っていたのに倣い、文案に乏しい筆者も心がけるようにしてきた。しかし、長い自粛生活において身についた用心深さは、執筆においても厳しい。
『少女パレアナ』はそんな中、記憶の彼方から呼び戻した小説。どんな困難な状況に陥っても、そのことによって生じたプラスを探し、喜びを見出す少女の物語を遠い昔に読んだ。同時に少女の誰からも愛される天真爛漫な人物像に、捻くれ者は少々辛い気持ちになったことも思い出した。
しかし、この約二年間を振り返れば、少しでも良い方向へ考えようとする力が無意識に働いていたように思う。コロナ禍にあって自身のパレアナ的要素を発見した!
また様々な場所で、「今こそできる!」「やってみよう!」と言う類の言葉を聞き、そんなときは大変励まされた。
パレアナも周囲の人の潜在能力を引き出した。登場人物のひとりである牧師先生も、パレアナの明るさに力を得て、教会が抱える問題に「神よ助けたまえ、かならずやってみる!」と思い、礼拝説教で本書の主題とも言える聖句を取り上げる。
「たゞしき者よエホバを喜びたのしめ 凡てこゝろの直きものよ喜びよばふべし」 詩篇32篇11節(文語訳)
励ましは前向きの活力。新しい年も、多くの喜びが見つかる年となりますよう、お祈り申し上げます。 (吉崎)