変わること、変えてはならないこと
〈評者〉松田和憲
著者は礼拝学の第一人者である越川弘英氏で、本書は、コロナ禍により変貌した日本の教会の実情を念頭に置きながら、それに相応したこれからの教会の変わるべき在り方について、斬新な試論を展開している力作である。
本書は三部構成からなり、第一部では、コロナ禍に対応して教会の在り方、礼拝の持ち方等が変化せざるを得ない状況で、結果としてオンライン礼拝を導入するに至った経緯を記している。それは緊急避難的措置であったが、試用する中で、今後の教会の形態、礼拝の内容を再吟味する契機となったことは否定できまい。さらには、従来の対面式礼拝とオンライン礼拝との併用によって、教会の新たな在り方を再構築する必要性を説いている。
第二部は、従来の礼拝を相対化しつつ、オンライン礼拝を用いる新たな礼拝の類型の意味、課題等について言及する。そして、従来の類型(式文・教派別の比較、機能的側面を指標とする比較)とは異なり、「時間と空間の枠組みにおける礼拝の分類」という発想から新しい比較を試みている。特に「ハイブリッド型」の礼拝様式とその可能性を詳細に検討する。その様式とは対面礼拝を中心に据え、周囲に拡大・展開する形でオンライン礼拝を位置付け、対面礼拝を核とする同心円状に、状況や諸条件の違うタイプの教会の在り方を二重の円で包む図式を想定している。
第三部ではまず「少子高齢化」の実態と変化を踏まえ、次いで社会における未来への取り組みとして「持続可能な開発目標(SDGs)」などを概観する。その後に今後の四半世紀にわたる日本の教会の信徒数・礼拝出席者の激減という内的な課題に焦点を当てる。そして「持続させたい教会」を目指すならば、教会の神学および信仰理解を再吟味して、それを力強く発信していくべきであることを強調する。さらには、これからの教会は「ハイブリッド・モデル」が主流になると予測し、すでに一定の成果を上げている実践例をいくつか紹介する。それぞれのモデルが「時の徴」を見極めつつ、時宜に適った新しい教会のあるべき姿を目指して、積極的に取り組んでいる姿勢を評価している。その上で、著者はどんな形態であれ、継続すべき最優先の活動は「主日礼拝」であると述べる。そして、主日礼拝がキリスト者の包括的な信仰教育の場となるために、聖書朗読と説教、祈りと賛美歌を整える必要があるというのだ。まさに「アーメン」である。
私事だが、わたしは牧師として四三年間働き、そのうち後半の一三年は大学教師との兼職であった。牧師辞任後、新たに礼拝する教会を探して約三年間、多くの教会の主日礼拝に参加する機会を得た。説教を「語る者」から「聴く者」になり、思わされたことは、教会が拠って立つべきは「主日礼拝」であり、さらに言えば、礼拝は「説教」によって立ちもし倒れもするという現実である。有り体にいって、人々は「説教を聴くため」に礼拝に来るのである。それゆえ、説教者にとって「み言葉を取り次ぐ」ことが第一義的使命であることは昔も今も変わらない事柄である。
本書は、今日の変化著しい社会情勢の中で新たな教会の在りようを模索するすべての人々に有益な示唆を与える労作であるといえよう。一読されることをお勧めしたい。














