『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2023年5月号
出会い・本・人
特集
詩を書くなら▼この三冊!(柴崎聰)
本・批評と紹介
- 『すべての人のためのローマ書2』N・T・ライト著/岩上敬人訳 (山口希生)
- 『聖書の動物よもやま話』堀内昭著 (上田恵介)
- 『これで変わる!あなたの英語力!』伊東寿泰著 (遠藤勝信)
- 『キリスト教で読み解く世界の映画』関西学院大学キリスト教と文化研究センター編 (松本敏之)
- 『説教 最後の晩餐』吉村和雄著 (小泉健)
- 『日々を生きる力』片柳弘史著 (露の団姫)
- 『アメリカ日本人移民キリスト教と人種主義』吉田亮著 (小檜山ルイ)
- 『ある牧師の眼』栗原茂著 (金井美彦)
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編集室から
中高生の頃、毎日のように友人たちと本の貸し借りをしていた。いろんな本を読みたい(なるべく安く)、好きな本は読んでほしい、という衝動から始まったことだが、同時に友人とのコミュニケーションの手段にもなっていた。単に会話の話題が増えるだけでなく、お互いの内面を深く知る機会だったように思う。借りた本を読んでいると、貸してくれた相手の好みやものの考え方を感じられる気がしたし、その印象は日常の中で見ているその人と合っていたり逆に意外だったりした。これは自分の趣味ではないと思う本も時にはあったものの、本を通して人と理解し合う大切な経験ができた。
新卒でキリスト教出版社に就職した当初は、本を「売るもの」として見ることに戸惑い、読者のニーズに合わせて本作りを考える視点になかなか馴染めなかった。三年経った今、視点が違うだけで見ているのは同じ本だと、やっと納得してきている。この本を読んだ人がどう感じるか、その感情や情報を必要とするのはどんな人かと問うことは、友人の好きな本の中に友人自身を見た体験の裏返しにも思える。本の編集と販売の現場に立つ中で、こうやって考えて作られた本を自分や友人たちはそれぞれ選んで受け取っていたのだな、と振り返って気づかされたのだ。
今年から『本のひろば』誌担当になりました。キリスト教界と出版界に限らず、社会全体の先行きが見通せない時代ではありますが、だからこそキリスト教書の持つ意味は大きいと思います。本と読者を繫げる大事な場所である書評をお届けするため、精一杯頑張ります。(豊田)
予 告
本のひろば 2023年6月号
(書評)J・L・バレット著『なぜ子どもは神を信じるのか』、オリゲネス著『キリスト教教父著作集第10巻ケルソス駁論Ⅲ』、H・W・ホーランダル著『コリント人への第一の手紙Ⅱ・Ⅲ』、本城仰太著『使徒信条の歴史』、増田琴著『マルコ福音書を読もう』他