聖書が語る喜びと自由への解放の手引き
〈評者〉藤掛順一
本書は、「ウェストミンスター信仰規準」(「ウェストミンスター信仰告白」「ウェストミンスター大教理問答」「ウェストミンスター小教理問答」)の邦訳ですが、肝心なことはこれが、「日本キリスト改革派教会」の大会で承認された「公認訳」であることです。何人かの方々によって既にいくつかの翻訳が出されていましたが、同教会の「憲法委員会第一分科会」において、二◯二六年(つまり本年)の日本キリスト改革派教会創立八◯周年までに「教会公認訳」を作成することを目指して作業がなされてきました。「信仰告白」と「大教理問答」は二◯二四年一◯月二三日の「日本キリスト改革派教会第七九回年度第一回定期大会」と、二◯二五年六月一九日の「同第七九回年度第二回定期大会」において可決され、「小教理問答」はそれより早く、二◯二二年一一月一五日の「第七七回年度第一回定期大会」と、二◯二三年六月二二日の「第七七回年度第二回定期大会」において可決され、これらを合わせて「ウェストミンスター信仰規準」の「日本キリスト改革派教会公認訳」が成立したのです。
「信仰告白」は二◯◯九年に出版された村川満・袴田康裕訳を修正したもの、「大教理問答」は二◯二一年に出版された袴田康裕訳を修正したもの、「小教理問答」は二◯一九年に出版された袴田康裕訳を修正したものとなっています。元となった訳業をなさった方々のお働きと共に、松谷好明氏による「ウェストミンスター神学者会議」についての詳細な研究も、この「公認訳」成立に大きな貢献をしています。
ところで評者は以前富山市の日本基督教団の教会に仕えていましたが、富山市には日本キリスト改革派の教会がなかったため、同教会の信徒さんたちも出席しておられ、転入して教会員になった方々もおられました。その方々との交わりの中で、日本キリスト改革派教会の教理教育のレベルの高さを実感すると共に、その方々が「ウェストミンスター信仰規準」に対して誇りと忠誠心を持っておられることに感銘を受けました。同じ旧日本基督教会からの伝統を受け継ぎ、基本的には改革派の信仰に立っているとはいえ、「簡易信条」でよしとしてきた私たちと、一九四六年の創立以来「ウェストミンスター信仰規準」を採用し、それを咀嚼し、それによる伝道と教会形成に励んで来た日本キリスト改革派教会との違いがそこにはっきりと現れていると感じました。そのような地道な努力と研鑽がこの「公認訳」として結実したことに敬意を表します。
「簡易信条」に慣れ親しんでいる者にとっては、教理体系を詳細に語っているこの信仰規準は、聖書の読み方を狭く限定しているように感じることもあります。しかし例えば「信仰告白」の第3章「神の永遠の聖定について」を読むと、「予定」の教えが通俗的に語られるような「運命論、決定論」とは全く違う、慰めに満ちた教えであることが分かります。教理が明確に示されているからこそ、聖書が本来語っている喜びと自由への解放を体験することができるのです。


















