『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2023年6月号
出会い・本・人
恐る恐る手にした新約聖書(小林正継)
特集
若者と一緒に『聖書・キリスト教・信仰』について考えるなら▼この三冊!(竹ヶ原政輝)
本・批評と紹介
- 『マルコ福音書を読もう』増田琴著 (渡邊さゆり)
- 『使徒信条の歴史』本城仰太著 (大石周平)
- 『なぜ子どもは神を信じるのか?』J・L・バレット 著/松島公望 監訳/矢吹理恵、荒川 歩 編訳 (芦名定道)
- 『キリスト教教父著作集第10巻 オリゲネス5』オリゲネス 著/出村みや子 訳 (津田謙治)
- 『神学の小径Ⅴ』芳賀力 著 (朝岡勝)
- 『コリント人への第一の手紙Ⅱ・Ⅲ』H・W・ホーランダル 著/池永倫明 訳 (吉田隆)
- 『傷ついた癒やし人 新版』ヘンリ・ナウエン 著/渡辺順子 訳/酒井陽介 解説 (関谷共美)
- 『キリスト教思想史の諸時代 Ⅶ』金子晴勇 著 (阿部善彦)
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編集室から
「ようやく回ってきた」。ある日、出社すると、待ちに待った本がデスクに置かれていた。何がかって? 今話題の『証し 日本のキリスト者』(最相葉月著・KADOKAWA)だ。「自分で買えよ」とおしかりを受けそうだが、買わなくても話題のキリスト教書はだいたい回ってくるのが出版社勤務の特権だ。一般紙にも取り上げられ、話題になっている一書なので改めて紹介することもないだろう。ノンフィクションライターが、全国の教会をめぐり、百人以上のキリスト者の半生を聞き書きしたものだ。
ある牧師が収録されている教派を数えたところ、プロテスタントが八九人(内、聖公会一二人)、カトリックが二五人、オーソドックスは一三人だったそうだ。
実は筆者は正教会の信徒に未だ出会ったことがない。そんな彼らの証しに触れることができたのは幸いなことだったし、筆者から見ると少々独特な信仰観も刺激的だった。海外から来た宣教師、司祭の証しもあり、普段当然と思っていることが、いかに普遍性を持たないことなのか教えられたりもした。「この教派に、こんなことを考えている人もいるのか」と、自分が気づかずに持っていた偏見に気づかされることもあった。筆者にとっては信仰というものをさらに自由に考える契機となる一書だった。本書の著者が未信者だからこそ成しえた本の力だろう。
読みだすと止まらないものだから、先日、地元の川辺で焚火をした際にも本書を持って行って読んでいた。しまった、想像が及ばなかった。真っ白な表紙がいつの間にか煤で真っ黒に…。うーん。新しいやつ買って返すか。(桑島)
予 告
本のひろば 2023年7月号
(巻頭エッセイ)大西晴樹、(書評)小見のぞみ著『非暴力の教育』、辻直人著『湯浅八郎の留学経験』、小高毅、堀江知己訳『オリゲネス 創世記説教』、ヘンリ・J・M・ナウエン著『イエスの示す道』、在日本韓国YMCA編『交差するパレスチナ』、大頭眞一著『神さまの宝もの』、松谷好明著『〈ウェストミンスター信仰告白〉歴史的・分析的註解』、荒川朋子著『共に生きる「知」を求めて』他