『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2022年12月号
出会い・本・人
皆川達夫著『洋楽渡来考』とその後(樋口隆一)
特集
カルト問題を考えるなら▼この三冊! (齋藤篤)
本・批評と紹介
- 『ヘロデ大王』C・G・シュウェンツェル著/波部雄一郎訳 (小河陽)
- 『微笑みは永遠に』スヴェトラーナ山崎ひとみ著 (笹森田鶴)
- 『創世記講解 下』潮義男著 (鎌野善三)
- 『海鳥たちの遺言』上垣勝著 (小友聡)
- 『教父学入門』土井健司著 (津田謙治)
- 『無我夢中』桜美林学園チャプレン会編著 (西原廉太)
- 『初期キリスト教の世界』松本宣郎著 (足立広明)
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編集室から
ある子どもはいつも心に痛みを抱えていた。自分は聖書の言葉通りに信じることも行動することもできない。頑張ってみても偽善みたいで冷める。毎日罪を積み重ねて、「終わりの日」に神様に裁かれて滅ぼされる。こんな私じゃなく、生まれつき罪のないイエス様に生まれたかった。
その子は大人になってからキリスト者になり、礼拝説教のなかでハイデルベルク信仰問答問60を聞いた。
問「どのようにしてあなたは神の御前で義とされるのですか」。答「ただイエス・キリストを信じる、まことの信仰によってのみです」。自分の良心がどれ程、お前は神の戒めに背き、何一つ守ることができず、今なお悪に傾き続けて生きていると責めたとしても、「神は、わたしのいかなる功績にもよらずただ恵みによって、キリストの完全な償いと義と聖をわたしに与え、わたしのものとし、あたかもわたしが何一つ罪を犯したことも罪人であったこともなく、キリストがわたしに代わって果された服従をすべてわたし自身が成し遂げたかのようにみなしてくださいます」。
今年は、家庭内で信仰を強制されて育った宗教二世が注目を集めた。筆者もその一人だったけれど、今も人知れず悩み苦しみ続ける人たちが日本中にいると知った。
昔の私のような子どもたちに伝えたいと願う。あなたはイエス様にならなくてもいい。自分が罪を犯さないためでなく、あなたの罪を引き受けるために、イエス様はこの世に生まれてこられたのだから。そして一緒に、心から嬉しいクリスマスを祝いたい。(石澤)
予 告
本のひろば 2023年1月号
(書評)井上篤夫著『フルベッキ伝』、英国・ナザレン神学校著『聖化の再発見 上・下』、金子晴勇著『キリスト教思想史の諸時代Ⅵ』、川中 仁編『新約聖書の奇跡物語』他