「信仰」と「現実」が一つとなる秘訣
〈評者〉鎌野善三
祝福された人生の秘訣 申命記に聞く!
塩屋 弘著
四六判・152頁・定価1430円・ヨベル
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本書は、申命記を1章ずつ解説することにより、祝福された人生とはどのようなものかを、様々な例話を用いて描いています。34章全て、その章題に「祝福」という語が含まれていて、神様の祝福の豊かさに心が暖かくなりました。特に感銘を受けた5つの章を紹介します。
6章「祝福への姿勢─聞け、イスラエルよ」
神が示された最も大切な命令は「主を愛しなさい」である。幼い頃、弟の誕生日プレゼントとして「少年〇〇〇〇」を買ったのだが、自分が読み終えるまで弟を待たせていた。自分の愛は身勝手だが、神の愛は御子を与えてくださるほどの愛であり、その愛の招きにお応えして生きていきたい。
11章「祝福の知識─あなたがたは知らなければならない」
荒野における40 年の生活で、イスラエルの民は主の「しるしと御業」を知った。約束の地に入ってから、主の恵みを感謝し、その御業に生きていくためだった。神のことを知らない人々に、この恵みを知らせる特権を自覚しよう。
15章「祝福の奇跡─惜しみなく与えなさい」
約束の地において、「惜しみなく与える」民となるなら、社会に奇跡がおきる。3億円の宝くじを買ったとき、はじめは全部献金しようと思っていたのに、後には三分一、十分の一と少なくなった。宝くじを買うのでなく、それを神に献げるべきだった。明け渡す時、神の奇跡が始まる。
22章「祝福による実行─見ない振りをしてはならない」
同胞の牛や羊が迷っているとき、「見ない振りをするな」と命じられるのは、愛が自発的なものだから。律法を守ることが自発的でなければ、それは怒りを生み出してしまう。自分だけが気づいたことを実行する機会は必ずある。
31章「祝福の継承─私は彼を任命する」
モーセがヨシュアを後継者にしようとしたとき、二人そろって神の前に立ち、一緒に神の命令を聞いた。私の父の死の一か月半前、私も子どもたちも父と一緒に祈りをし、写真を撮った。十字架で死なれたイエスさまと共に、その復活の力を信じて歩むことほど大きな祝福はない。
塩屋先生とは数回お会いしただけの間柄ですが、この著書を読ませていただいて、その人となりが全頁から滲み出ていることに気づきました。
一つ目に、その優しさです。律法を単なる命令ではなく、神からの愛の語り掛けとして語られるからこそ、慰めがあり励ましがあります。ありのままで神の前に立つときにこそ、主の祝福が注がれることを実感しました。
二つ目に、その正直さです。自分の失敗も隠すことなく記しておられます。マスクの着用に抵抗する理由など、思わず吹き出してしまいました。そんな「ひねくれ者」でも愛してくださっている神の愛が、どの章にも満ちています。
三つ目に、その純粋さです。十字架と復活の福音に生きておられる姿が浮かび出ています。どの章においても、旧約聖書の一書を読んでいるとは思えないほど、主イエスの愛のまなざしを感じるのは、私だけではないでしょう。
決して難しくありません。あとがきにも記されていますが、「信仰」と「現実」が一つとなる秘訣を、ぜひこの書から学び取ってください。
鎌野善三
かまの・よしみ=西宮聖愛教会牧師