『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2017年4月号
出会い・本・人
松居直先生との出会い(藤本朝巳)
対談書評
『聖書人物おもしろ図鑑』
日本キリスト教団出版局、(大島力×中野実)
本・批評と紹介
- 『福音書記者マタイの正体』
澤村雅史著、日本キリスト教団出版局―(中野実) - 『見えない希望のもとで』
永田竹司著、教文館―(東よしみ) - 『新約聖書の学び』
越川弘英著、キリスト新聞社―(大澤香) - 『十字軍とイスラーム世界』
ロドニー・スターク著、新教出版社―(関沼耕平) - 『人生の後半戦とメンタルヘルス』
藤掛 明著、キリスト新聞社―(藤本満) - 『わが主よ、わが神よ』
竹森満佐一著、教文館―(川﨑公平) - 『真実なるものここにあり』
森田美千代著、創言社―(田中かおる) - 『見よ、この方を!―アレテイア 増刊号』
日本キリスト教団出版局編―(荒瀬牧彦)
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編集室から
一月に急な発熱が続き臥せっていたが、四十度を越えた時点で119番、生まれて初めて救急車に乗り、生まれて初めての入院となった。インフルエンザによる感染症が悪化したらしい。抗生物質を四日間投与し、何とか一週間で退院することができた。ただ発熱による体力の消耗は凄く、筋肉がすっかり落ちてしまった。
この間、病室は大部屋。苦痛に苛まれながらも、さまざまな体験をした。命にかかわる手術を受ける人(家族とのヒソヒソ話が聞こえてしまう)、「痛くないと言ったじゃないか!」と医師に文句を言う人、排泄のたびに大声で喚く人。皆、明日の自分である。カーテン一枚隔てて寝ていた隣人は、ある臓器を全摘出するという。告知された時の気持ちはどうだったのか、入院する際の心構えはどうだったのか、夜中に目覚めた時、どう思うのだろうか、そんなことを考えながら祈っていた。消灯後は電気をつけられないので「聖書」が読めない。み言葉を暗記していない自分が情けなかった。
信仰は自分の病いや老いや死を背景にしたとき試される。若い頃は、体にばい菌が入っても白血球が闘ってくれたのに、体の衰えによって免疫が効かなくなる。その現実をじかに体験した。また自分が入院患者になって、病人に対する思いやりも身につけることができた。妻は「神罰が下ったのよ」と言う。そうかも知れない。み言葉の暗記と、「聖書」暗唱への渇望は、神のご催促となった。(寺田)