『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2021年10月号
- 出会い・本・人 本との出会いを通しての奇跡 鳥居雅志
- 特集 「金と神」について考えるならこの三冊! 福嶋揚
- 本・批評と紹介
- 小川 修 著 『小川修パウロ書簡講義録7』 (廣石望)
- 深沢美恵子 編著 『花子とアン 村岡花子の甲府時代』 (小檜山ルイ)
- 加藤常昭 著 『加藤常昭説教全集 コリントの信徒への手紙二講話』 (菊池美穂子)
- ジョン・ヒック 著/間瀬啓允監 訳 『宗教と理性をめぐる対話』 (若林裕)
- 近藤存志 著 『ゴシック芸術に学ぶ現代の生きかた』 (藤掛順一)
- H・J・セルダーハウス 著/石原知弘 訳 『カルヴァンの詩編の神学』 (大石周平)
- 大頭眞一 著 『聖なる神の聖なる民―レビ記』 (手島勲矢)
- 小友 聡 著 『謎解きの知恵文学』 (矢部節)
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編集室から
コロナ禍での二回目の夏は、積読状態になっていた本を読もうと、手始めに三浦綾子の『ちいろば先生物語(上・下)』(集英社)を開いていた。言わずと知れた故・榎本保郎氏の生涯を描いた小説だ。
普段、小難しい本を読んでいると、小説を読んだときの自分の読書スピードに驚く、なんてことを聞いたことがあったが、案の定筆者もそうだった。新聞記事や人文書、キリスト教書などでは味わえない、小説ならではの文体で語られる、戦中、戦後を生きた人々の生活と信仰に、時間を忘れて熱中していた。奇しくも、終戦記念日とも重なり、主人公・保郎の戦争体験などからも、七五年前のことを考える機会となった。当時を生き抜いた著者が描く戦中・戦後の物語は、情報として知っている戦争の悲惨さをカラーにして見たようだった。加えて当時の人々、筆者から見た信仰の先輩方がキリストに出会ったときの喜びを垣間見れたのも筆者にとっては価値のあることだった。今の教会を建て、支えてこられた先輩方の信仰に触れることは教会に仕える意味でもこれからも大事にしていきたい。
話は変わるが、先日、初対面の人と小説が好きという話題で盛り上がった。いわゆるヒューマンドラマを描いた作品が好みらしく、「人生もいいもんだな」という気持ちになるらしい。せっかくなので、三浦綾子を推しておいた。「聞いたことはありますね」という程度だったが、覚えてもらっただろうか。そういえば、こんなときキリスト教出版社の本を紹介するなら、どの本を推すのが良いのだろうか。情報求む! (桑島)
書き手
キリスト教文書センター
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