『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。2024年8月号
出会い・本・人
神の国は今、ここにある(関野祐二)
特集 シリーズこの三冊!
日本語訳聖書の歴史を知るためのこの三冊!(吉田新)
本・批評と紹介
- 『説教と神の言葉の神学』カール・バルト 著/加藤常昭、楠原博行 訳 (牧田吉和)
- 『秘密の花園』F・H・バーネット 著/脇 明子 訳 (斎藤惇夫)
- 『あらすじで読むキリスト教文学』柴崎 聰 監修 (上林順一郎)
- 『真のキリスト教神学のための弁証』ロバート・バークレー 著/リシア・キュニング 編/中野泰治 訳 (岩井淳)
- 『ユダヤ慈善の近代化』田中利光 著 (金澤周作)
- 『無教会の変革』荒井克浩 著 (小林孝)
- 『傘の神学Ⅰ 普遍啓示論』濱 和弘 著 (阿部善彦)
- 『神と共に生きる』長田栄一 著 (鎌野善三)
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編集室から
紫式部を主人公とする今年の大河ドラマのブームに乗って、源氏物語の関連本を書店でよく見かけるようになった。源氏物語は小学生向けの抄訳と某有名漫画くらいでしか読んでいない筆者も、ドラマの初回で引き込まれてしまい、毎話欠かさず視聴している。
しかし、本屋の特設コーナーに平積みされた源氏関連本を眺めながら、ふと考えてしまった。この中の本を実際に買う人はどれほどいるのだろうか。もっと言えば、ドラマから興味を持った人のうち、いったい何人が源氏物語を読破するだろうか。今はSNSなどでも歴史や出典の解説が即座にアップされるので、それらを見ればドラマの背景を理解したと思って満足できてしまう。書籍から情報を得る人自体が減っている昨今、原典まで読み切る人はさらに少ないのではないか。
キリスト教の関連書でも、宗教絡みの事件が起きたり、人気映画で聖書に由来するモチーフが登場したりすると売れ行きが伸びることがある。けれど、そのときの読者がその後聖書を通読し教会に通って洗礼を受けた、というケースはあまり多くないだろう。それでも文書伝道が最終的に目指すところはそこであり、たとえ一時的なブームであっても、一人一人の読者のうちに信仰の種をまく助けになるようなものを作っていきたいと思う。
……と書いてきたが、かくいう筆者自身、にわかに興味が出て現代語訳付きの源氏物語全集を通販サイトで検索したものの、調べたところで止まっている状態だ。五十四帖、長い……もうちょっと考えます。(豊田)
予 告
本のひろば 2024年9月号
(巻頭エッセイ)佐々木潤(特集)「エコロジーの視点から聖書を読むためのこの三冊!」鬼頭葉子(書評/エッセイ)大串肇著『VTJ旧約聖書注解・エレミヤ書1~20章』(書評)並木浩一著『ヨブ記を読もう』、オリゲネス著『諸原理について』、袴田康裕著『コリントの信徒への手紙二講解〔下〕』、ラインホールド・ニーバー著『道徳的人間と非道徳的社会』他