【本のひろば】 2023年11月号

『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2023年11月号

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出会い・本・人

児童書からキリスト教史まで(富田雄治)

エッセイ

第18回東北アジア・キリスト者文学会議に出席して(釘宮明美)

特集 シリーズこの三冊!

階級闘争を理解するためのこの三冊!(マニュエル・ヤン)

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編集室から

 ふと立ち寄った古書店で、背の焼けた『深い河』を見つけた。今年は遠藤周作生誕一〇〇周年。これも出会い、と手に取った。しばらく読み進めていると、乱筆で「日本基督の現状」と書き込みがあった。矢印の先には女子大生・美津子が、信者である学生を揶揄する言葉。書き込みは好きではないが、古本である以上仕方ない。
 書き込みは、ふとした拍子に現れる。美津子が信者である学生・大津の信仰を「惰性」と切り捨てる場面には「信仰への戸惑い」。「基督教の大学に入り、洗礼など受けない者」には「まともな人間」。神のことを「玉ねぎ」と呼ぶシーンには「虚構」。その表現や筆跡から、信仰に対して疑問を抱く中年男性の姿が浮かんできた。「オジサンはそう感じたんだ」「なるほどねぇ」。気づけば中年オジサンとの会話が脳内で始まっていた。オジサンは修道士となった大津に共感していく。彼の言葉に傍線が増え、時に「その通り」と書き込む。そして物語のクライマックスにある大津の祈り、「あなたは、背に人々の哀しみを背負い、死の丘までのぼった」。オジサンはこれを丸で囲み、横に大きく「愛」と書いた。それ以降、オジサンは得心が行ったのか姿を消した。奥付には九九年発行。二〇年以上前にこの本を旅し、大切なものを見つけた人の足跡に、一人で読む時以上の興奮と大切な友を得たような不思議な読後感を味わった。書き込みのある本、いいじゃない。
 さて、先日フリマアプリに出品した本に書き込みの有無の質問が届いた。待ってました。「あります!」。あれから数週間、その本は未だ本棚で出番を待っている。(桑島)

予 告

本のひろば 2023年12月号

(巻頭エッセイ)宮谷尚実、(書評)エーティンガー著『聖なる哲学』、柴崎聰著『詩集 文脈に立つ短剣符』、青山学院宗教主任会編著『今日と明日をつなぐもの』、木村公一著『非暴力による平和創造』、富田正樹著『疑いながら信じてる50』、大島力、川?公平著『聖書の祈り31』、及川信監修『日本正教史』、柏木貴志著『アウグスティヌス』、イグナチオ・デ・ロヨラ著『霊操』他

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