『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2023年8月号
出会い・本・人
物語の力(田中光)
特集
シリーズこの三冊!〈キリスト教と哲学〉の関係を問い直す三冊ーミシェル・アンリを読み継ぐ(阿部善彦)
本・批評と紹介
- 『すべての人のためのマタイ福音書2』N・T・ライト 著/井出 新 訳 (本多峰子)
- 『コヘレトと黙示思想』小友聡 著 (並木浩一)
- 『雅歌の説教』住谷翠 著 (小友聡)
- 『咸錫憲におけるシアル思想の成立と展開』朴賢淑 著 (山本俊正)
- 『わたしが十字架になります』及川信 著 (久松英二)
- 『アジアの視点で読むルターの小教理問答』J・P・ラジャシェカー 編著/宮本新 訳 (江口再起)
- 『ジョージ・ミュラーとキリスト教社会福祉の源泉』木原活信著 (山口陽一)
- 『民芸の心〔新装和英版〕』湯浅八郎 述/田中文雄 編/国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館 新装版編集 (森本あんり)
- 『レヴィナスの時間論』内田樹 著 (松丸和弘)
- 『動物という隣人』鬼頭葉子 著 (竹之内裕文)
- 『ハインリヒ・ブリンガー』堀江洋文 著 (大石周平)
- 『烈しく攻める者がこれを奪うⅡ』住谷眞 著 (吉田新)
- 『ハーマンにおける言葉と身体』川中子義勝 著 (宮谷尚実)
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編集室から
カルトが社会問題として世間の耳目を集めるようになったのは、昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件がきっかけです。1990年代の統一協会の合同結婚式やオウム真理教による地下鉄サリン事件を思い出した方も多いのではないかと思います。そこから現在に至るまでの約30年間、メディアで取り上げられないだけで、カルト宗教による被害が連綿と続いていたことは、2世問題が顕在化したことからも自明です。
とはいえ、カルトは宗教に限ったことではなく、政治、消費生活、家庭、学校、職場など、人間関係が存在するあらゆる場における支配・非支配の関係から起こりうる人権侵害だと言われます。特に「しつけ」の名のもとに起こる親による子への支配は注意すべきカルトの萌芽であるという識者の意見を聞いた時には、我が身を振り返り、空恐ろしくなりました。そのことをカルトに詳しい知人に言うと、「そういう自覚があればカルトにはならないよ」と返され、教育ママのレベルだったかもとホッとしました。
でも、油断は禁物です。社会の最小単位である家庭から社会まで、それぞれのカルト性に自覚的であることが大切ではないかと思う今日この頃です。(市川)
※編集部よりお知らせ
これまで「~なら この三冊!」というタイトルでお送りしてきた冒頭の特集記事ですが、今号より「シリーズ この三冊!」としてお送りします。それに伴い表紙での表記も若干変更します。内容はこれまで通りですので、今後ともお楽しみください。
予 告
本のひろば 2023年9月号
(書評)A・トムソン著『アシジのフランシスコの生涯』、ロバート・キエサ訳・注解『イエズス会の規範となる学習体系(一五九九年版)[羅和対訳]』、ゼバスティアン・フランク著『パラドクサ』、山口希生著『ユダヤ人も異邦人もなく』、石田学著『第一ペトロ書を読む』、関西学院大学キリスト教と文化研究センター編『ことばの力』、関川泰寛著『キリスト教古代の思想家たち』、マルティン・ブーバー著『義を求める祈り』他