『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2022年6月号
出会い・本・人
真っ白だったり、真っ黒だったり(森下辰衛)
特集
正教会の信仰を学ぶには▼この三冊! (ゲオルギイ松島雄一)
本・批評と紹介
- 『見えない神を信ずる』月本昭男 著 (朴 大信)
- 『LGBTとキリスト教』平良愛香 監修 (新免 貢)
- 『生命との別離』ミヒャエル・デ・リッダー 著/ヴォルフガング・R・アーデ、島田宗洋 訳 (長谷川(間瀬)恵美)
- 『光は闇のなかに』小島誠志 文/森本二太郎 写真 (小友 聡)
- 『キリスト教思想史の諸時代 Ⅴ』金子晴勇 著 (大島征二)
- 『大学の祈り』青山学院大学宗教主任会 編著 (佐原光児)
- 『日本におけるキリスト教保育思想の継承』熊田凡子著 (片山知子)
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編集室から
いつか地球統一国家が成立して国境はなくなる。かつてそんな風に漠然と思い描いていたことを思い出す。車が空を飛び、宇宙旅行が現実のものとなる、科学が発達した平和な二一世紀の理想図が子供のころ読んだ図鑑に描かれていた。
あれから四〇余年が経った。感染症拡大を防ぐため、移民の流入を阻むため、国境はより一層厳しく管理されるようになっている。領土をめぐる争いが世界で頻発し、日本も例外ではない。この瞬間にも世界のいたるところで抑圧され、傷つき、命を奪われる人たちがいる。五〇日を経てウクライナでの戦火は止まず、さらなる拡大が危惧される。人類の前には、戦争以外にも数多の問題と争いの種が壁となり立ちはだかっている。
平和を求める国際会議は、いったいどれくらいの回数が重ねられてきたのだろう、人間同士の縄張り争いは、どれだけの血が流されたら終わるのだろうか。
一九四九年に書かれたケストナーの『動物会議』では、人間の各国首脳が集まって世界平和を求め八七回の会議が重ねられる。いっこうに進展しない人間の会議に腹を立てた動物たちは、「人間の子供たちを救うため」世界中から大集結、動物会議を開催する。動物たちは、たった一度の会議で人間たちに永久平和の約束をさせてしまう。七〇年後の現代世界に向けてよりいっそう強く響く物語である。
今日キリストは世を救うため十字架につく。心に刻みながら復活日を迎えたい。受苦日にて。(柳澤)
予 告
本のひろば 2022年7月号
(巻頭エッセイ)高崎恵、(書評)田中 光著『新しいダビデと新しいモーセの待望』、竹本修三・木村護郎クリストフ著『脱原発の必然性とエネルギー転換の可能性』、トーマス・レーマー著『ヤバい神』、山口雅弘著『ガリラヤに生きたイエス』、P・T・フォーサイス著『活けるキリスト』、ケリー・M・カピック著『シンガクすること、生きること』他