『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。2024年3月号
出会い・本・人
偶然の出会いに導かれて(吉田新)
特集 シリーズこの三冊!
ユダヤ人とイスラエル社会を知るための▼この三冊!(勝又悦子)
エッセイ
『[縮刷版]旧約新約 聖書大事典』・『[新装復刻版]聖書地図』(教文館)刊行に寄せて(山我哲雄)
本・批評と紹介
- 『 [改訂新版]自由への指針』大嶋重德著 (牧田吉和)
- 『苦悩への畏敬』下村喜八著 (片柳榮一)
- 『いのち果てるとも 』大頭眞一著 (西原智彦)
- 『イザヤ書註解Ⅰ』ジャン・カルヴァン著/堀江知己訳 (大西良嗣)
- 『牧会書簡』辻学著 (河野克也)
- 『ヒャッホウ! おばあさんだって冒険したい!』Duo Stella 紫園 香、菅野万利子共著 (佐藤知津子)
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編集室から
今年の始め、休みの間に家の本の整理をした。もともとスライド式の大きな本棚を使っていたのだが、棚板の上に収まりきらない本を動く棚の間にも積み上げたせいでスライド機能が意味をなしていなかったうえ、そこからもはみ出た本が家の床のあちこちに小山を作り、それは雑然としていたのだ。新しい本棚を廊下に置いてそれらの本を収めたところ、家の中がだいぶすっきりとした印象になった。棚に綺麗に並んだ本を眺めては「文明的な感じがするね」と家族と言い合って満足している。狭い廊下がますます狭くなったというのに呑気である。
しかしこの「文明的な感じ」という自分の感想に後から違和感を覚えた。散らかっていようが棚に並べられていようがそこにあるのは本なのだから、文明の産物であることに変わりはないのではないか。そこで「文明」を辞書で引いてみた。「種々の専門職に従事する人びとが集まって形成する都市を中心に整然と組織された社会の状態」。「整然」が必要なのか!と軽く衝撃を受けた。
そういえば前期の朝ドラでも、主人公の植物学者が部屋じゅうに植物の標本をため込んで周りから「狸の巣穴」とか言われていた。研究者にとっては文化的な学術資料であっても物としては枯れた草、といえば確かにそうだが、整頓されずに置いてあるというところで自然・野性のイメージがより強められていたような気がする。社会や学問の発展と部屋の片付けではスケールが違うとは知りつつも、すこし釈然としない気持ちを抱えたまま、今日も買ってきた本が棚に入らず床に積み上げている。
(豊田)
予 告
本のひろば 2024年4月号
(巻頭エッセイ)土肥研一(特集)「信仰と虐待を考えるなら、この三冊!」(書評)マリ・ヨアスタッド著『旧約聖書と環境倫理』、ロバート・W・プリチャード著『アメリカ聖公会の歴史』、日本キリスト改革派教会訳『ウェストミンスター小教理問答』、アウグスティヌス著『詩編注解(6)』他