『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2014年7月号
出会い・本・人
ゴードン・W.レイスロップ教授との出会い(平岡仁子)
本・批評と紹介
- 『被災地に立つ寄り添いびと』立野泰博著、キリスト新聞社―(賀来周一)
- 『共感する神』佐々木勝彦著、教文館―(森泉弘次)
- 『今日のアジアの教会におけるインカルチュレーション』古橋昌尚編、教文館―(山岡三治)
- 『聖書にもとづくイエス様の受難と十字架』藤原孝行著、ヨベル―(溝口捷支)
- 『石器時代からキリスト教まで』オールブライト著、日本キリスト教団出版局―(池田裕)
- 『イエスとは誰か』クロッサン著、新教出版社―(島薗進)
- 『教皇フランシスコとの対話』S.ルビンほか著、新教出版社―(ホアン・アイダル)
- 『もっと教会を行きやすくする本』八木谷涼子著、キリスト新聞社―(小嶋崇)
- 『ウェスレーをめぐって』清水光雄著、教文館―(岩本助成)
- 『若者とキリスト教』関西学院大学神学部編、キリスト新聞社―(吉岡恵生)
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編集室から
巻末を担当させていただくのも今回で五回目。「そのうちに慣れてきますよ」との励ましも空しく、今のところは、まだ四苦八苦している。そのかわりに、名前を忘れてしまったが、ある作家が「文章を読まれることは、針で開けた細い穴から裸を見られるように恥ずかしいことだ」と語った言葉を思い出して痛感している。
私は美術に興味をもっているので、読書以外にいろいろな絵画や造形をきっかけに広がった知識が多々ある。美術作品もまた作者を投影する。
ジャクソン・ポロックという画家は、聞き馴染みのない名前という方もいらっしゃるかもしれない。アクションペインティングの第一人者。キャンバスに絵筆を叩きつけたような、なぐり描きのグチャグチャな画風。失礼だけど誰にでも描けそう。
それでもポロックを愛している人達がいる。それでも鑑定にかかれば贋作は見破られるそうだ。
美術評論家によるとグチャグチャは、自然界の法則で大きい形の中に、相似する小さい形が存在するフラクタル構造になっているとのこと。アクションペインティングでどうやって作り出すのかは今でも謎らしい。
さらに、残されている制作風景の映像から、描き始めは天地創造だという見解があり、その行程が潜在意識を刺激するのではないかという解釈がある。もっとも、作者は何も語らず亡くなっているので、こちらも真実は闇の中。
しかし、明らかに計算して何かの形を描いているので、そこには作者の本質が如実に表現されているのではないかと思う。
ポロックを通して知ったフラクタルは生物の体内にも存在し、さらに研究が進めば宇宙の成り立ちが分かるかもしれないと期待されている奥の深い分野。
私たちも未知なる巨大なものと、フラクタルな関係にあったり、投影だったりするのだろうか。 (吉崎)