『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。2025年1月号
出会い・本・人
対立する項目を調停すること―井筒俊彦の著作からの学び(阿部仲麻呂)
特集 シリーズこの三冊!
聖書とは何かを考えるなら、この三冊!(山﨑ランサム和彦)
エッセイ
《皆川達夫セレクション》全三巻の刊行に寄せて(樋口隆一)
本・批評と紹介
- 『信仰生活ガイド 苦しみの意味』柏木哲夫 編 (川上直哉)
- 『日々の黙想 366日で読む聖書』ニーナ・スミット 著/日本聖書協会 訳 (永井信義)
- 『聖書学と信仰者』M・Z・ブレットラー、D・J・ハリントン、P・エンス 著/魯 恩碩 訳 (並木浩一)
- 『現代エキュメニカル運動史』藤原佐和子 著 (西原廉太)
- 『改革教会の信条と展開』袴田康裕 著 (澤正幸)
- 『メソジスト入門』W・J・エイブラハム 著/加納和寛、赤松真希 訳 (藤本満)
- 『たからさがし』望月麻生 著 (上田亜樹子)
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編集室から
本が読めていない。読みたい本も読まなくてはいけない本もたくさんあるのだが、少し時間が空くとスマホを触っている。このままではいかん、と気合いを入れて手にしたのが『読んでいない本について堂々と語る方法』(P・バイヤール著、大浦康介訳/筑摩書房)だ。出版人としてお叱りを受けそうなタイトルだが、内容は種々の「読んでいない」状態の分析から「読む」行為自体を問い直す読書論にもなっていて、予想以上に面白かった。
著者によれば、ある本を知るために全ての頁を読む必要はない。深く読み込みすぎると本の全体像を把握できないだけでなく、その本と他の本との関係、また本に対する自己の立場まで見失う。「読まない」ことは本に対して適切な距離を保ち、その真の意味を見極める行為なのだ──これほど積ん読常習者を勇気づけるテーゼがあるだろうか。よし、今度読んでいない本の話が出たら、私も堂々と「ああ、あれは〇〇ですよね」と……いや、正直に「読んでません」と言ったほうが心が楽な気がしてきた。 (豊田)
【お詫びと訂正】
前号「本のひろば」12月号に誤植がありました。
14ページ、上段1─2行目の「三十八年間」は、正しくは「四十七年間」です。これは書評者の責任ではなく『岐阜キリスト教史』(教文館)書籍本文の誤りがそのまま書評に引用されたものです。ここに訂正し、お詫びいたします。また今後このようなことがないよう、校正の徹底に努めてまいります。
予 告
本のひろば 2025年2月号
(巻頭エッセイ)西岡昌一郎(特集)「聖書の世界観を深めるための聖書考古学この三冊!」山野貴彦(書評)原口尚彰著『メタファーとしての譬え』、川中仁編『宗教と終末論』、川﨑公平著『使徒言行録を読もう』、デービッド・ワトソン&ポール・ワトソン著『全信徒祭司の教会を建てあげる』、大井満責任編集『全地に満ちる主の栄光』他