『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。2025年7月号
出会い・本・人
こぼれ落ちる時間の向かう先─トマス・アクィナスとの出会いから(松村良祐)
特集 シリーズこの三冊!
信仰が折れそうになるときに読むこの三冊!〜牧師も悩んでいます(上林順一郎)
本・批評と紹介
- 『増補改訂版 新約聖書の本文研究』B・M・メツガー、B・D・アーマン 著/橋本滋男、前川裕 訳(津村春英)
- 『聖書からの贈り物』丹治めぐみ、左近豊 編(横山ゆずり)
- 『はじめてのヨハネ福音書』棟居正 著(石丸昌彦)
- 『説教黙想アレテイア叢書 創世記29ー50章』日本キリスト教団出版局 編(宮﨑誉)
- 『神と民の契約』松本敏之 著(荒井仁)
- 『キリスト教思想史の例話集Ⅱ 命題集』金子晴勇 著(阿部仲麻呂)
- 『自分自身と群れ全体とに気を配りながら』松本雅弘 著(山口陽一)
- 『平和の福音に生きる教会の宣言』吉田 隆、長谷部弘、弓矢健児、豊川 慎 著(澤正幸)
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編集室から
教皇の死去から次の教皇を選ぶまでの過程をミステリー仕立てで描いた映画『教皇選挙』の勢いが止まらない。3月20日の公開以来、50日目で興収8億円超を記録。配給会社によると、5月上旬の時点で動員累計は約52万人に上るという。
すでに入院して体調が危ぶまれていた教皇フランシスコの訃報と、その後に行われたホンモノの教皇選挙に関する報道が、観客動員に拍車をかけることになった。
日本人枢機卿としてコンクラーベに参加した菊地功大司教は、自身のブログでその内幕について(公にできる範囲で)報告。3月にローマを訪れた際の機内で映画『教皇選挙』を鑑賞したことも明かした。
「ストーリーはちょっと荒唐無稽だなと思いますし、明らかに現実的ではないフィクションですし、実際にバチカンで撮影しているのでもないので、いろいろと実際とは異なるところがありますが、よくできた映像だと思います」とし、映画の公開を通じ、「本当の教皇選挙に注目して頂けた部分も多くあろう」と評価した。
一方で、実際には同作で描かれるような「生臭い話は、残念ながらフィクション」で、食事の席では互いに自国の教会について教え合ったり、「和気あいあい」としていたことも紹介している。
プロテスタント教会にとっては縁遠い一連の話題だが、かようなタイミングとアプローチさえあれば、キリスト教になじみの薄い日本人の琴線にも触れられると証明した現象として、記憶に留めておきたい。 (松谷)
予 告
本のひろば 2025年8月号
(書評)髙橋洋成著『「イエスの言語」をめぐる論争史』、兼子盾夫著『遠藤周作の生涯と文学』、山本賢蔵著『静寂者ジャンヌ』、島田恒著『生涯現役が贈る人生の道標(みちしるべ)』、本多峰子著『イエスとの出会いと救い』他