『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。
2022年5月号
出会い・本・人
無人島に持って行く一冊の本(髙橋貞二郎)
特集
神と暴力について考えるなら▼この三本! (富田正樹)
本・批評と紹介
- 『キリスト教教義学 上』近藤勝彦 著 (神代真砂実)
- 『ディアコニッセの思想と福祉実践』坂本道子 著 (木原活信)
- 『「洗礼」をめぐって』早坂文彦 著 (富田正樹)
- 『新・神を愛するための神学講座』水草修治 著 (山口陽一)
- 『アーバンソウルズ』オサジェフォ・ウフル・セイクウ 著/山下壮起 訳 (ネルソン橋本ジョシュア諒)
- 『クィア神学の挑戦』工藤万里江 著 (絹川久子)
- 『死と命のメタファ』浅野淳博 著 (村山盛葦)
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編集室から
二年ばかり散髪に行くのを億劫がっているうちに、髪の毛がだいぶ伸びました。久しぶりに会った人に話しかけると、みなさん「この人、誰?」という表情を一瞬浮かべるのがちょっと面白いです。マスクをしている上に髪型が変わると、確かに誰だか分かりませんね。
髪を伸ばしたことで、いくつか発見がありました。ラーメンを食べるときにどれほど面倒か。よい髪質を保つためにどれほど手間がかかるのか。不器用な人間にとって、ヘアゴムできれいに髪を束ねるのがどれほど難しいか。ささいなことながら、私にはどれも新鮮な経験です。
ロン毛ということばが流行したころ、私は決してああいう髪型にはしないぞと心に決めていました。「男らしくない」と思っていたのです。今にして思えば、なんとまあ狭い考え方をしていたものでしょう。その私が齢四十を過ぎて髪を伸ばし、毎日せっせとクエン酸水溶液で髪をすすいでいる。人間変われば変わるものだと思います。
そう、人間は変わるのです。かつて正しいと思っていたことがひっくり返ることなんていくらでもあります。その時に、慣れ親しんだかつての正しさにしがみつくか、それとも新しく目の前に広がっている世界へと一歩踏み出すことができるか。身構えなくたって、新しい世界への扉はあちらこちらにあるはずです。いつもとちょっと違う道を歩く。買ったことのない野菜を買ってみる。はじめて聞いた名前の料理を食べてみる。
変化を恐れず、しなやかに今日一日を生きたいものです。(白田)
予 告
本のひろば 2022年6月号
(巻頭エッセイ)森下辰衛、(特集)「正教会の信仰を学ぶにはこの三冊!」、(書評)ミヒャエル・デ・リッダー著『生命との別離─事前医療指示書から緩和医療に至る手引き』、月本昭男著『見えない神を信ずる─月本昭男講演集』他