『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2019年8月号
- 出会い・本・人 十字架の矢の痛手 (エッセイ:岩崎謙)
- 特集 「キリスト教と平和」を学び直すにはこの三冊! 比企敦子
- 本・批評と紹介
- 『旧約聖書入門3』
大野惠正著、新教出版社―(大島力) - 『使徒パウロの神学』
J・D・G・ダン著、教文館―(山田耕太) - 『コヘレトの言葉を読もう』
小友聡著、日本キリスト教団出版局―(松本敏之) - 『愛し、愛される中で』
榎本てる子著 、日本キリスト教団出版局―(後宮敬爾) - 『マインドフルネスとキリスト教の霊性』
ティム・ステッド著、教文館―(阿部仲麻呂) - 『英学者 本田増次郎の生涯』
長谷川勝政著 、教文館―(西口忠) - 『3分間のグッドニュース「詩歌」』
鎌野善三著、ヨベル―(門叶国泰) - 『失われた歴史から』
水草修治著、ヨベル―(大坂太郎) - 『遠藤周作と探偵小説』
金承哲著、教文館―(古橋昌尚) - 『キリスト的ジェスチャー』
B・ウェブミッシェル著、一麦出版社―(小泉健) - 『バックストン著作集3』
いのちのことば社―(広谷和文) - 『主の前に静まる』
片岡伸光著、日本キリスト教団出版局―(太田和功一)
- 『旧約聖書入門3』
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編集室から
聖書の新翻訳『聖書 聖書協会共同訳』の奉献式で日本基督教団銀座教会に行ったときのこと、ラ・トゥールの描いた「大工の聖ヨセフ」を立体化した作品を見つけて、そのこだわりの完成度に見入ってしまった。当日は多くの方が訪れくださる中、私はエレベーター前で誘導係りをしていた。人の流れがスムーズになるよう送り出した後はすぐにボタンを押して次に備える。しばらく繰り返して人の波が途切れた束の間、ぼんやり眺める空の片隅に次第に引き寄せられものがあった。
少年イエスがろうそくをもって、父ヨセフの大工仕事を見守っている場面。ガラスケースの上には作者の名前があり寄贈と書かれていた。二次元を三次元にするということはかなり難易度の高い挑戦。正面はもちろんのこと、横、上、後ろにもオリジナルの意図を壊さないようにするため、思いがけない試練に立ちむかわなければならない。
感心しながら見ていたら、ヨセフの足元に木屑が落ちているのを見つけた。気になって後日オリジナルを確認すると、ろうそくの明かりで照らされている少年イエスを中心に、そこから遠くなるほど薄暗く、木屑が分りにくくなっていた。作者が画家の描画を辿りながら丁寧に形を起こしているのがうかがえる。
新しい聖書は教会で朗読されるとき、言葉が美しく響くよう配慮されているとのこと。きっと、黙読とは違った導きをもたらしてくれるに違いない。(吉崎)