『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2015年8月号
出会い・本・人
私の青春の出会い(中村敏)
エッセイ
『キリスト教とはなにか?』山口勝政著、ヨベル―(櫛田節夫)
本・批評と紹介
- 『自分らしい最期を生きる』 森清著、教文館―(若林一美)
- 『真理は「ガラクタ」の中に』
大貫隆著、教文館―(深田未来生) - 『コンパクト聖書注解ヤコブの手紙』
E.デ・フリース著、教文館―(久野牧) - 『イエスとの実存的出会い』
藤山修著、教文館―(繁國良明) - 『あなたはどこにいるのか』
関田寛雄著、一麦出版社―(山内一郎) - 『手話で歌おう!』
原崎悦子、石橋えり子著、日本キリスト教団出版局―(塩山宗満) - 『グローブから介護へ』 中澤秀一著、ヨベル―(河幹夫)
- 『アッシジのフランチェスコと自然』
R.D.ソレル著、教文館―(手塚奈々子)
- 本屋さんが選んだお勧めの本
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編集室から
キリスト教本屋大賞2015のノミネート10作品が発表された。「継続は力なり」というが本屋さんは経験を重ねると、新刊が入荷されてきたときに、売れ行きを見抜く力が備わってくるのだそうだ。
書籍タイトルと装丁と概要の紹介、それに読者と出版者の間で培われた考察力が職業的直感に反応して的中率上々とのこと。
私は職場にパソコンが導入されて間もない頃、グラフィックソフトの操作が上手だと言われたことがある。説明書も読まずに挑むところが、動物的勘に優れているとのことだがあまり褒められた感がしなかった。
本当はパソコン苦手意識が強い。早く扱えるようにならなければいけないと思ったのだ。
世の中がアナログ色の強いバブル時代に、『ノーライフキング』(いとうせいこう著)という本が話題になった。全国展開されている塾でつながる小学生たちが、顔も声も知らない者同士パソコン通信を通して成績を競い合い、情報網を張り巡らせ、ノーライフキングの噂を作っていくストーリー。遠い未来のハイテクに思えた。
きっと、分かる人には分かっていたのだろう。ネット社会と言われている現在は、『ノーライフキング』の世界を飛び越えてしまったけれど、家の本棚に並んでいるのを見かけると、先を見通す力の無さを憂う。
あまり興味のないジャンルだったが、話題の本というだけで読んだ。今では、時代の変化を早く捉えようと思う苦言的な一冊になっている。
読者と出版者の間に立ち、それぞれを知るキリスト教書店が推薦する本。紹介リーフレットがお薦めコメント付きで配布されている。少しでも心留まる感を覚えたら、それは一読の価値あり。大賞はノミネート作品の中から決選投票の末に決定。九月に発表される。 (吉崎)