『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2015年1月号
出会い・本・人
二人のカタリナ(三好千春)
本・批評と紹介
- 『キリスト教とローマ帝国』
ロドニー・スターク著、新教出版社―(山﨑ランサム和彦) - 『異質な言葉の世界』、『洗礼を受けていない人への説教』ウィリモン著、日本キリスト教団出版局―(小島誠志)
- 『キリスト教の主要神学者 上』 F.W.グラーフ編、教文館―(水垣渉)
- 『日本人の宗教意識とキリスト教』 佐々木勝彦著、教文館―(井ノ川勝)
- 『詩集 火の言葉』 柴崎聰著、土曜美術社出版販売―(川崎正明)
- 『愛と正義』 ポール・リクール著、新教出版社―(阿部善彦)
- 『礼拝の祈り』 鈴木崇巨著、教文館―(髙田和彦)
- 『エンキリディオン 小教理問答』 ルター著、リトン―(内海望)
- 『イエス・キリストの系図の中の女性たち』
久野牧著、一麦出版社―(関田寛雄) - 『十字架とリンチの木』
コーン著、日本キリスト教団出版局―(荒瀬牧彦) - 『よくわかるクリスマス』 嶺重淑ほか編、教文館―(八木谷涼子)
- 『東方キリスト教の歴史』 アティーヤ著、教文館―(辻明日香)
- 近刊情報
- 書店案内
編集室から
キリスト降誕祭を祝う賛美歌の定番と言えば大抵の人は“Stille Nacht, heilige Nacht”(=「静かな夜、聖なる夜」─筆者訳)を挙げるのではないでしょうか。1818年にオーストリアのF・Ⅹ・グルーバーによって作曲されたこの歌は、その親しみやすい民謡風の旋律のゆえに世界中に広まっていった。1988年には西ドイツ(当時)で関連した映画Magdalene(邦題=マグダレーナ「きよしこの夜」誕生秘話)も制作された。
原詞はヨーゼフ・モールによってドイツ語で書かれたもので、日本語の歌詞としては由木康訳のものが有名である。賛美歌集に初めて収録されたのは1909年の『讃美歌』第二編で、1961年には小学校六年生の音楽の教科書にも採用され、1988年まで掲載されていた(川崎洋編『大人のための教科書の歌』いそっぷ社、1998年、251頁参照)。
今回、本誌(22─23頁)で取り上げられた、嶺重淑・波部雄一郎編『よくわかるクリスマス』(195頁)によると、現行の由木康による訳では「すくいのみ子は、まぶねのなかに」となっている箇所はもともとは「救いの御子は、御母の胸に」であったという。「なぜ由木康は歌詞を訳し変えたのか?」。詳しくは『よくわかるクリスマス』に譲るとして、由木康訳以外にも日本語訳があることを紹介しておきたい。
一つは日本のカトリック教会において「しずけき」という曲名で『カトリック聖歌集』111番に収録されているもの。もう一つ─これはある方のご教示によって知ったのだが─は1894年に発行された、納所辨次郎編『クリスマス讃美歌』(警醒社書店)中の「志のゝめ」(湯谷磋一郎訳)という曲名のものである。
それでは皆さん、メリー・クリスマス (中川)