『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2013年8月号
出会い・本・人
平山正実先生と牧医の召命(黒鳥偉作)
エッセイ
『クリスマスものがたり』『たいようも つきも』
パメラ・ドルトン絵、日本キリスト教団出版局―(きどのりこ)
本・批評と紹介
- 『最初期キリスト教思想の軌跡』青野太潮著、新教出版社―(高市和久)
- 『権力を志向する韓国のキリスト教』崔亨黙著、新教出版社―(深田未来生)
- 『無教会としての教会』岩野祐介著、教文館―(ミラ・ゾンターク)
- 『キリストの肖像』近藤存志著、教文館―(加藤明子)
- 『中世における信仰と知』上智大学中世思想研究所編、知泉書館―(金子晴勇)
- 『スピリチュアルコミュニケーション』窪寺俊之編著、聖学院大学出版会―(清田直人)
- 『共同研究 日本ではなぜ福音宣教が実を結ばなかったか』研究会Fグループ著、いのちのことば社―(深谷春男)
- 『ウェストミンスター信仰告白と教会形成』袴田康裕著、一麦出版社―(朝岡勝)
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編集室から
数年前に自ら命を絶った親友の家を、何人かで訪れました。中には十年ぶりに会う友人もいて、家族を交えてしばらく話し込みました。故人の話も出ますが、話題の中心は今それぞれが抱えている問題、特に病気のことになりがちです。見た目にはお互いさほど変わっていないように見えても、それぞれの人生は違う段階に入っているのだと感じる会話でした。去る者は日々に疎し。去る者のことを考え続けていられる余裕は、私たちの日常にはないようです。
話が弾めば弾むほど、彼がいればどんな会話になっただろうかと思わざるをえませんでした。他の人たちも同じような思いを抱えながら、直接は彼と関係のない話をしていたのかもしれません。去る者は日々に疎し。されど、そう簡単に私たちが忘れ去ることもないようです。
彼はもういません。そのことは、私が今生かされていることを改めて教えてくれました。彼の死後、世の中にも私の身の上にも多くのことが起こりました。嬉しいこともありましたが、弱い立場に置かれている方々にとって、悩み苦しみがさらに増し加わるようなことのほうが多いと言えましょう。
そこで聖書はこう言うのですね。「汝ら常に主にありて喜べ、我また言ふ、なんぢら喜べ」(ピリピ四・四、文語訳)。喜ぶようなことなどさっぱりないところでも、主にあることで喜べるようになるのでしょう。
私たちの近くに、遠くに、そして自分の内にあるさまざまな悩み苦しみと向き合う時に、主にあっての喜びは訪れるのかもしれません。 (はくた)