原田浩司 著 『〈スコットランド信仰告白〉による信仰入門』  (伊勢田奈緒)

宗教改革の精神を次世代につなぐために
〈評者〉伊勢田奈緒

〈スコットランド信仰告白〉による信仰入門 
原田浩司 著
A5判 ・134頁・定価1760円・一麦出版社
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 この著書の帯には「宗教改革の精神を次世代につなぐために」とある。「次世代に」という言葉に16世紀に編まれた「スコットランド信仰告白」をいかに次世代に繋げるのかという思いに駆られ、読み始めた。かく言う私も著者と同じ頃、ジョン・ノックスに出会い、セント・アンドリュース大学大学院で学び、16世紀に起こった宗教改革運動に魅了されてきた者である。この書の構成は3章から成っている。第1章はスコットランド宗教改革小史、第2章はこの信仰告白の著者として、ノックスを中心に、六人のジョンについての小伝がある。読者はこの1、2章で、小国であるスコットランドにおける16世紀当時の背景を頭に描きながら、第3章へ導かれ、25章から成る信仰告白の本文と著者による巧みなポイント講話を理解していけよう。
 まず、この書にはノックスやStジャイルズ教会など、人物や建物などの豊富な絵画や写真があり、読者は21世紀の現代から16世紀に思いをはせることが出来る。第2章には、六人のジョンが取り上げられ、興味深いものである。特筆すべきは第3章で著者は常に21世紀の読者に向かい、この信仰告白について分かり易く語りかけるように説明をしている点である。たとえば、54 頁で「原罪は神の像の破壊である」について、「それはちょうど、毎日自分の顔を映し出していた手鏡をうっかり床に落として割ってしまい、その鏡越しに自分の姿を見ることができなくなってしまったようなものだ。その手鏡はもはや何の役にも立たず、処分するほかない代物である」とか、第4条の「約束の啓示」の箇所では「神の約束は、信仰深い人たちによって絶えず継承されて、こうして21世紀の時代まで継承されてきた」。
「信仰者はこの神の約束に訴えて、この神の約束に委ねつつ、神の約束を次世代へ、22世紀の時代へと受けついでいかなければならない」といった具合に常に著者は、21世紀の読者に直接、語りかけている。
 こうして興味をもった読者は、スコットランド信仰告白が宗教改革議会に提出されてどのように承認されたのか、その過程、たとえばカトリック側の反対や、どの点を作成者たちは熱く議論したのかなども知りたいと思うのではないかと思う。また、第22条「聖礼典の正しい執行について」は、ローマ教会のミニスター(仕え人)たちが、キリスト・イエスの仕え人ではないこと、聖礼典を彼らの発明品によって汚していること、パンとぶどう酒を神として崇拝していること、ぶどう酒が聖餐に用いられていないこと、司祭らがキリストとその教会の仲保者として生者と死者の罪のために宥めの犠牲を献げていることなどを列挙している。
なぜこれほどに強い否定をしたのか、せざるをえなかったのか、その点に関する著書の説明があれば、この条文の意図をさらに深く理解できるのではないかと思った。
 本書は21世紀の読者に物語るように16世紀のスコットランド信仰告白を説き明かした書である。「あとがき」で著者が述べているように、「今、改めて」この信仰告白が「神が改革者たちに注がれた聖霊の息吹を汲み取り、教会の改革と形成にはげむものでありたい」という意見に同感である。

書き手
伊勢田奈緒

いせだ・なお=東洋英和女学院学院宗教部長

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