
東北に移り住んでから6年目を迎えました。東北学院大学への着任を機として、以前から関心のあった東北地方で活躍した宣教師たちの事績を研究するようになりました。特に3年ほど前からは、近隣の「牧師仲間」と共に勉強会を月一回開催しています。
この勉強会では、毎回、19世紀後半から20世紀前半にかけて東北地方で活躍した宣教師に関する英文の書物を翻訳し、意見を交換しています。最初は、山形・秋田両県で活躍し、「両羽の使徒」と称された合衆国改革派教会の宣教師H・H・クック先生の伝記を読破しました。現在では、クック先生と同じく合衆国改革派教会の宣教師で、主に福島県の会津地方で活躍し「会津の使徒」と称されたクリストファー・ノッス先生の『東北:日本のスコットランド』(原題:Tohoku, the Scotland of Japan, Board of Foreign Missions, Reformed Church in the United States:Philadelphia, Pennsylvania, 1918)を読み進めています。
「東北を日本のスコットランドに」。この言葉は、東北学院の草創期を支えた宣教師や日本人牧師たちが好んで用いたものでした。この言葉は東北地方とスコットランドが地理的条件や人口規模、歴史的・文化的背景が類似していることから生まれたものです。しかし同時に東北の地にキリスト教的理想社会を建設したいという彼らの情熱を示すものでもありました。
宣教師の著作を読むことで、地域社会とキリスト教との文化的・歴史的関わりを知ることができるだけではなく、彼らの日本社会への思いに触れることで、大いに励まされ、慰められています。気心の知れた仲間との勉強会の中で、一人で本を読むだけでは得られない喜びや発見を感じています。
(ふじの・ゆうだい=東北学院大学准教授・日本基督教団教務教師)













