【出会い・本・人】「ドン・ボスコ」と「ウェスレー」=交わる出会い


 カトリック教会附属の幼稚園での出会いをとおして、中学高校6年間をカトリック校で学ぶことになった。入学前に、サレジオ会創立者の評伝『ドン・ボスコの生涯』(オフレー著、バルバロ訳)が配られ、感想文を提出するようにとの課題が出された。その献身の生涯に関心を持ちつつ、創立者の思いが満ちた学校の一員となる期待を抱いた。
 入学後は、いきおい、自身が所属する日本基督教団の教会との相違に直面することとなった。宗教科の授業で「あなたはクリスチャンだが信者ではありません」と言われたことは衝撃だった。折しも近隣の病院でエホバの証人の輸血拒否問題が起きたこともあって、級友たちに自らの信仰的立場を説明する必要に迫られた。こうして、自らの属する教会がメソジストの伝統を持ち、それを重んじる群であることを知ることになった。
 学内のミサで級友たちが聖体拝領するのを眺めつつ、自らも陪餐したいという思いが募り、所属教会で堅信礼を受けた。また、司祭志願者(志願生)が各クラスにいたことで、献身と言うことにも思いを向けることになった。神父様方の勧めで、カトリック研究会に属し、ミサの準備や奉仕など卒業まで活動した。また、始業前の公教要理のクラスにも参加した。
 ある主日のこと、所属教会の週報棚に『ジョン・ウェスレーの生涯』(テルフォード著、深町正信訳)が配られていた。あらためて、メソジストの創始者との出会いが与えられた。「伝道・教育・奉仕」を一体とするメソジストの特質は、ドン・ボスコに通ずるところがあり、また、その教会的立ち位置は、カトリックとの架け橋となり得るのではとの思いを抱いた。「メソジストには親近感がある」と語る神父様もいらしたことにその意を強くした。この思いは今も変わらず、牧師としての立ち位置を形づくっている。多くの出会いに感謝は尽きない。
(はやし・まきと=日本基督教団西新井教会牧師・附属西新井教会保育園園長・日本基督教団出版局『信徒の友』編集長)

書き手
林牧人

はやし・まきと=日本基督教団西新井教会牧師・附属西新井教会保育園園長・日本基督教団出版局『信徒の友』編集長

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