学校の現場で用いるために
〈評者〉田中郷史
本書は、キリスト教主義学校において、キリスト教を学ぶための入門書として、活用していただきたい書物です。キリスト教の入門書といえば、イエス誕生のアドヴェントから始まるものが多く、学校や日々のカレンダーと異なるため、季節外れのことを学ぶことになるため、教える側にも、学ぶ側にも違和感を覚えてしまいますが、本書については著者がまえがきで記しているように、イースターから始まっています。暦通りに学ぶことは、私たちが生きているこの時間軸と合わせることができ、キリスト教を効果的に学ぶことができるのが本書であると言えます。さらに、教会の暦に従って、前半では新約聖書の内容を丁寧に読むことができます。キリスト教史、旧約聖書の内容も、歴史的順序に従って理解することができるので、歴史を勉強している方にも、おすすめしたいと思います。
また、高等学校について言えば、大学入試や模擬試験の新科目「倫理」において、キリスト教の項目においても「聖書科」レベルの知識や理解を求める問題が出題されており、本書はそれを網羅していることから、学校の聖書科において、本書を使用することによって、他教科との関連性からキリスト教の学びを深めることが可能となります。どうしても聖書科という教科は、生徒や学生にとって、授業を受けることが疎かになりがちになるように思えますが、他教科及び大学受験等での関連性があることを知ることによって聖書というものが身近となり、学習意欲も向上するようになると期待できます。
本書を教科書として、私なりに高等学校の1年間の授業として組み立ててみると、1学期にイースターからキリスト教神学の成立まで、2学期に西洋中世のキリスト教からクリスマス物語まで、3学期に世界の終末とまとめという形で進んでいくことができるように思います。宗教改革もちょうどよい時期に学べます。高校生には少し難しい箇所や表現もありますが、大学生の教科書として用いるという場合には、特に難しい所もないので、これを用いるにはちょうど良いレベルなのではないかと思います。ただし、先ほども述べた通り、大学受験や模擬試験における難易度から考えると、本書は社会科における世界史、地理、キリスト教倫理の分野の教科書の副教材としても用いることができるように思います。
この本書は、著者の授業が元になっているので、聖書科の先生だけでなく、社会科の先生にも手をとってご覧になっていただきたいと思います。さらには探究学習を行っている先生方にもご覧になっていただければ、探究のヒントが隠れているように思います。これからの学校教育の授業を行っていく上で、とてもよい教材として、本書が用いられることを願います。













