『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。2025年5月号
出会い・本・人
生きているということには不安があるんだ(平林孝裕)
特集 シリーズこの三冊!
ボンヘッファーを知るならこの三冊!(小海 基)
本・批評と紹介
- 『倫理』D・ボンヘッファー 著/宮田光雄、村松惠二、本田逸夫、小嶋大造、星野修 訳(佐藤司郎)
- 『聖書における和解の思想』左近豊 編(小友聡)
- 『不安と孤独の処方箋』石丸昌彦 著(増田琴)
- 『押田成人 遊行の巡礼者』宮本久雄、石井智恵美 編(小暮康久)
- 『恋人たちの夜明け』及川信 著(岩崎真紀)
- 『平和をつくるということ ピースメーカー』キム・ドンス 著/高野啓子 訳(榎本榮次)
- 『二一世紀の友に贈る平和へのメッセージ』深谷松男 著(樋口進)
- 『〈出会い〉の旅』宮田光雄 著(最上敏樹)
- 『パウロとパレスチナ・ユダヤ教』E・P・サンダース 著/浅野淳博 訳(山口希生)
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編集室から
20年以上前に制作した書籍について、問い合わせがあった。
絶版になってから15年以上も経過している書籍を、今でも大切にしてくれていることは嬉しかったが、一方で「面倒臭そう」というネガティブ思考が頭を占領した。
そんな考えを打ち消して探した著者の電話番号は、すぐに見つかったが、連絡が絶えて久しいので果たして有効なのだろうかと思い一応、インターネットで下調べをした。すると、地元の情報誌がヒットし、ご活躍の様子をうかがい知ることができた。
それでも、不安を抱えながら電話をすると大変懐かしそうな声が応対してくださった。筆者が覚えていてくださったことに感謝申し上げると、「忘れるなど、とんでもない」と返事が返ってきた。
著者によると、出版後、多くの団体から講演や指導の依頼があり、定年後の今も、全国各地から招かれ忙しくしているのだそうだ。「40年前に、自身の職場のために書いたものが、こんなに用いられるなんて……」受話器の向こう側で、感慨深い様子の著者が見えるような気がした。その時もちょうど、遠方へ講演に行く支度をなさっていたようだった。
最後に「出版のチャンスを与えてくださりありがとうございました。おかげで人生が豊かになりました」と著者。筆者も「良い仕事に携わらせてくださり感謝です」と言い交わして電話を切った。そして「面倒臭いと思って、ごめんなさい」心の中で一礼した。 (吉崎)
予 告
本のひろば 2025年6月号
(巻頭エッセイ))『自分のなかに歴史をよむ』 今井小の実
(書評)山口雅弘著『「生きる」をいつくしむ』、東洋英和女学院大学死生学研究所編『死生学年報 2025』、関西学院大学神学部編『明日の地域と教会』、日本キリスト教団出版局編『説教黙想アレテイア 創世記1─28章』他