『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。本購入の参考としてください。2024年6月号
出会い・本・人
「チック」が先か、「タック」が先か(菅原裕治)
特集 シリーズこの三冊!
本・批評と紹介
- 『聖書のお話を子どもたちへ』小見のぞみ著 (片山知子)
- 『聖化の再発見 ジパング篇』大頭眞一と焚き火を囲む仲間たち編著 (林牧人)
- 『神の子とする恵み』齋藤五十三著 (丸山忠孝)
- 『愛に祈る人』矢田部千佳子著 (加納孝代)
- 『修道院からモダニズムへ』浅野忠利著 (田淵諭)
- 『キリシタン1622』川村信三、清水有子編/キリシタン文化研究会監修 (大橋幸泰)
- 『われら主の僕』ICU伝道献身者の会編 (藤本満)
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編集室から
わたしは以前勤めていた複数の出版社でよき出会いにめぐまれ、編集者として養われ、鍛えられました。そのことに感謝はしていますが、売り上げのノルマが厳しく、常に競争させられる中で生き馬の目を抜くような出来事もめずらしくなく、本当に大変でした。そんな中、週末に教会に行くことがこころの安らぎになっていたように思います。この世の価値観とキリスト教の価値観は違うのだから……と思うことで慰められていました。当時は仕事と子育てワンオペで多忙を極めていて、教会では何の奉仕もしていませんでしたが、居心地のいいところでした。そして何より、逃れ場だったのだと思います。
ところが、キリスト教の職場で働くようになり、子どもが成長して手が離れ、教会でもわずかながら奉仕するようになるとどうでしょう。今度は、キリスト教や教会とは一見関係のない人や事柄、出来事をとおして神さまの愛を肌身で感じることが増えてきたのです。キリスト教ではこうだからとか、クリスチャンかどうかなどの線引きをする必要などなくなりました。
クリスチャンであることを喜び、恵みだと感じるのはいいのですが、ややもすれば優位であるかのような言動に触れるととても残念な気持ちになります。かつてのわたしにそういう部分があったので、余計にそう感じます。この世は世知辛いですが、それでも神さまの愛はあまねく及んでいて、そのことをキリスト教界隈の外で、クリスチャンではない人たちから感じることができる幸いを思います。世俗社会で生きるキリスト者でありたいと願います。(市川)
予 告
本のひろば 2024年7月号
(巻頭エッセイ)李聖一(書評)コリン・E・ガントン著『キリスト教信仰』、石浜みかる著『証言・満州キリスト教開拓村』、関西学院大学キリスト教と文化研究センター編『エコロジカル聖書解釈の手引き』、加藤久美子著『文脈の中のアフォリズム』他