『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2017年6月号
出会い・本・人
オット・カイザー教授との出会い(魯恩碩)
対談書評
『オックスフォード キリスト教辞典』
E・リヴィングストン編、教文館(対談:関川泰寛+藤原淳賀)
エッセイ
『決定版 ひとりの伝道者に注がれた神のまなざし』
錦織博義著、ヨベル―(錦織博義)
本・批評と紹介
- 『初期キリスト教の宗教的背景 上』
H・クラウク著、日本キリスト教団出版局―(辻学) - 『知的障碍者と教会』
F・バウアーズ著、新教出版社―(関田寛雄) - 『キリストは甦られた』
R・ランダウ編、教文館―(深井智朗) - 『受難と復活の賛美歌ものがたり』
大塚野百合著、教文館―(宗雪雅幸) - 『異端反駁Ⅰ』
エイレナイオス著、教文館―(小高毅) - 『なぜ平和主義にこだわるのか』
M・ケースマン他著、いのちのことば社―(岡田仁)
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編集室から
冬があけて梅雨入り前の、心地良い短い季節がやってきた。爽やかなのは嬉しいのだが、昆虫たちの活動も始まるかと思うと複雑な気持ちになる。
私は昆虫がとても苦手。エレベーターに乗って、目的の階のボタンが虫で塞がれていると、狭い空間でどうやって静かに移動してもらうかでパニックなる。そんな調子なので、学習帳メーカーが表紙写真に昆虫を採用しなくなったことが話題にされたときは、少なからず注目した。
子どもたちの「気持ち悪い」「怖い」という意見を取り入れての決断だそうだが、私は自分のことを棚にあげて「そこまで拒絶しなくても……。」と思ってしまった。一応、例外もあるが、自身としては基本的に見る分には大丈夫。特に写真はこちらに飛んでくる可能性がないので安心して見ていられる。突き詰めるところ、表紙が昆虫写真の学習帳は売れ残るので必然的選択なのだそうだ。子どもたちにいろんな虫を紹介したいと思っても、売れなければしかたがない。倉庫に在庫が積み上がっているようすは、私にも簡単に想像ができる。それは、とても辛い光景。物作りにおいて、提案と迎合のバランスの難しさを実感せずにはいられない。
クリエイターって楽しそうでいいなと思っていたとき、牧師先生から、クリエイティブとは本来「無」から「有」を生み出すことだから、神さまにしかできない業だと説かれた。私たちは神さまが造った「有」と「有」を、センスよく組み合わせることが限界なのだと。
手話で「神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。」(創世記1・31)を表すとき、「良かった」は、その前の「すべて」を強調するために、四方八方へむけて何度も同じ動作を繰り返すそうだ。昆虫はきっと素晴らしいに違いない。そして少々前衛的な気もするが、私もまた、クリエイティブのひとつなのだと思った。(吉崎)