『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2018年1月号
出会い・本・人
朗読は人を作る(エッセイ:上田彰)
対談書評
『NTJ新約聖書注解 ガラテヤ書簡』刊行記念
パウロは何を言おうとしているのか?
(浅野淳博+廣石 望)
本・批評と紹介
- 『宗教改革と現代』
新教出版社編集部編―(出村彰) - 『日本キリスト教史』
鈴木範久著、教文館―(山口陽一) - 『「ハイデルベルク信仰問答」の神学』
L.D.ビエルマ著、教文館―(加藤常昭) - 『信頼のしるし』
ローワン・ウィリアムズ著、教文館―(中村豊) - 『「キリスト教綱要」物語』
B.ゴードン著、教文館―(関川泰寛) - 『神の物語 上・下』
マイケル・ロダール著、ヨベル―(久下倫生) - 『無から有』
鈴木恭子著、キリスト新聞社―(篠浦千史)
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編集室から
目の前のものに集中し、何かを生み出す人に憧れます。イラストや工芸作品、デザイン、映像、音楽に至るまで……。本を生み出す過程にも、多様なスペシャリストが関わっています。編集の仕事をしていると、そういった方のお仕事ぶりを見たり、お話をしたりする機会も多く、それも楽しみの一つです。
たとえば装丁家です。装丁関連の本では、坂川栄治+坂川事務所『本の顔──本をつくるときに装丁家が考えること』(芸術新聞社)をよく読み返しています。何気なく手に取った本も「坂川さんのデザインだったのか!」と驚くことがしばしば。カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』も彼の手によるものです。
「何となく惹かれる」「読みたい」という思いを引き出す「本の顔」をどうやって作るのか。文字、イラスト、色、紙、さらには不採用案まで、試行錯誤の舞台裏を追う一冊です。
一方で、通勤中に電子書籍で読むことが増えました。文庫も開けないほど混雑した車内では、スマートフォンでの読書が快適です。画面下に「読み終えるまで○%」「あと○分」という表示が出たり、多くの人が線を引いた箇所が分かる機能があったりと、新しい読書のかたちが広がっていきます。
血が通わないデジタルのようで、誰かと一緒に読んでいる感覚があって、また本が好きになりました。作り手の思いをのせた紙の本と、デジタルのつながりを縦横に掛け合わせた、ハイブリッドな読書が豊かな時間になると思います。
「図書館の貸本のために本が売れない」という発言があるほど出版状況は厳しく、専門書も例外ではありません。ただ、買っても借りても、紙でもデジタルでも、講演や読書会といったイベントでも、どちらもやわらかく取り入れつつ、読者を地道に増やすほかないように思えます。それも、一人ひとりの「本との出会い」、「本を読むことで、新しい世界が広がる」というおおもとの楽しさを忘れずに。本誌編集もそんな気持ちで取り組みたいです。(福永)