『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2018年10月号
出会い・本・人
キリストの道を歩く日本人の足に合った靴(エッセイ:山根道公)
本・批評と紹介
- 『クエーカー入門』
ピンク・ダンデライオン著、新教出版社―(山本通) - 『十字架の道を辿る』
スハ・ラッサム著、キリスト新聞社―(中田智之) - 『伝道のステップ1、2、3』
鈴木光著、日本キリスト教団出版局―(深谷与那人) - 『魚にのまれたヨナのおはなし』
ピーター・スピアー作、日本キリスト教団出版局―(友野富美子) - 『ヒエロニュムスの聖書翻訳』
加藤哲平著、教文館―(小高毅) - 『発達障害サポート入門』
古荘純一著、教文館―(大澤宣) - 『ティリッヒと逆説的合一の系譜』
菊地順著、聖学院大学出版会―(安酸敏眞) - 『宗教改革2.0へ』
松谷信司編著、ころから―(富田正樹) - 『十字架のキリスト以外に福音はない』
近藤勝彦著、教文館―(髙橋潤) - 『神に愛された女性たち』
大嶋裕香著、教文館―(岩田三枝子) - 『エフェソ書を読む』
石田学著、新教出版社―(藤原導夫)
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編集室から
本誌6―7頁に紹介されている、鈴木光著『伝道のステップ1、2、3――信徒と牧師、力を合わせて』(日本キリスト教団出版局)を読んだ時、ふと『やまない雨はない――妻の死、うつ病、それから…』(文藝春秋)という本を思い出した。
著者の倉嶋厚さんは気象庁を退職後、自分の番組を持つほどの気象キャスターとなったが、突然のガン宣告に思い悩み、心の拠りどころを求めて教会の門を叩く。当初は牧師や信徒の親切に助けられ、足繁く教会に通うのだが、周囲の期待に応えられない遅々とした信仰の歩みに悩み、うつ病気味となって教会を離れてしまったという。
同じような体験を作家・角田光代さんが『福音と世界』2018年4月号に書かれている。角田さんは小学校から高校までキリスト教主義学校で学んだが、聖書と神を信じるあまり、自分には洗礼を受ける資格がないと悩み、高校を卒業してキリスト教から離れた時には「ほっとした」と述懐されている。しかし、二人ともキリスト教から決定的に離れたわけではない。前述の倉嶋さんは、後年、お連れ合いの葬儀を牧師に依頼しているし、角田さんも、「未だに私のなかに、聖書の言葉やフレーズはあり続け」ていると、そのエッセイを結んでいる。
教会を訪れる人の動機も経験も多様である。どう応対したらよいのかわからない場合もある。そのような時、主観的な対応に陥らないよう『伝道のステップ1、2、3』を再読したい。(寺田)