『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2019年5月号
- 出会い・本・人 サンタクロースの部屋 (エッセイ:柳下明子)
- 特集 「天皇制とキリスト教」を学び直すにはこの三冊! 戒能信生
- 本・批評と紹介
- 『いつも喜びをもって』
加藤常昭編、教文館―(及川信) - 『C.S.ルイスの読み方』
マクグラス著、教文館―(釘宮明美) - 『怒って神に』
上沼昌雄著、ヨベル―(千葉惠) - 『老教師の聖書レッスン』
平塚敬一著、小学館―(水口洋) - 『古代ギリシア教父の霊性』
久松英二著、教文館―(阿部善彦) - 『始まりのことば』
片柳弘史著、教文館―(望月麻生) - 『サビールの祈り』
ナイム・アティーク著、教文館―(山口里子)
- 『いつも喜びをもって』
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編集室から
50人の命を奪った惨憺たる事件がニュージーランドのモスクで起きた。移民を狙ったヘイトクライムだと言われており、障がい者へのヘイトクライムと言われる「津久井やまゆり園」での悲劇を思い起こさせた。ご存じのとおり日本もヘイトと無縁ではない。三月にも京都でヘイトデモがあり、警護していた警察とデモに反対するカウンターの人たちが衝突する動画が拡散された。規制によりヘイトデモで発せられる言葉は一時期より幾分穏やかになったそうだが、ネット上にはいまだ特定の民族や人種、性的指向への差別的な書き込みが溢れかえっている。残念ながら、書店にもヘイト本と呼ばれるフェイクニュースを垂れ流す本が平積みにされていたりする。ヘイトやフェイクの言葉だけでない、「わたしなんか生まれてこなければ」……ときに自分自身に向ける言葉すら、命や真実を損なおうとする。
以前担当した書籍の著者がこれを「言葉の危機」と表してくれた。そんな言葉の危機に抗い、言葉に対する感覚を取り戻す「真の書物」との出会いを届けること、本誌の使命のひとつはここにあると思っている。前号から始まった、この時代に読むべき本をテーマごとに紹介する新連載「この三冊!」はいかがだろうか。引き続き原理主義や平和、グリーフケア、スピリチュアリティ、LGBTなど、社会と教会にとって必要なテーマをピックアップしている。ここで紹介される本に触れるとき、言葉に対する感覚を取り戻せる。そんな地の塩としての誌面をめざしていきたい。(桑島)