【本のひろば】 2019年7月号

『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
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2019年7月号

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  • 出会い・本・人 神谷美恵子の著作をめぐって (エッセイ:釘宮明美)
  • 特集 「感性を高めるキリスト教美術書」ならこの三冊! 吉松純
  • 本・批評と紹介
    • 『ヤスパースとキリスト教』
      岡田聡著、新教出版社―(茂牧人)
    • 『教会はイザヤ書をいかに解釈してきたか』
      B・S・チャイルズ著、日本キリスト教団出版局―(鎌野直人)
    • 『初期キリスト教の宗教的背景 上・下』
      H-J・クラウク著、日本キリスト教団出版局―(浅野淳博)
    • 『「若者」と歩む教会の希望』
      原敬子他編著、日本キリスト教団出版局―(李聖一)
    • 『キリスト教哲学序論』
      春名純人著、教文館―(市川康則)
    • 『ヒッポリュトス 全異端反駁』
      大貫隆訳、教文館―(山本巍)
    • 『なみだ流したその後で』
      上林順一郎著、キリスト新聞社―(山北宣久)
    • 『カール・バルトとエキュメニズム』
      佐藤司郎著、新教出版社―(中道基夫)
    • 『命のファイル』
      佐々木哲夫著、教文館―(小友聡)
    • 『笑いと癒しの神学』
      長谷川正昭著、ヨベル―(西原廉太)
    • 『創世記講解 上』
      潮義男著、ヨベル―(古賀博)
  • 座談会 『聖書 聖書協会共同訳』を翻訳して
    阿部 包、飯 謙、春日いずみ、吉田 新、(司会)島先克臣
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編集室から

 短歌の投稿サイトを見ていたら、「懸命にビリ走る子にもういいよもういいからと拍手を送る」(えいこママ)、という作品に出合った。図体ばかり大きく鈍足であった私にとって、この歌は他人ごとではない。小学生のころ、運動会で一等どころか上位に入ったこともなかった。体力不足のせいか、全力で走ると体がのけ反ってしまい加速できないのだ。徒競走ではゴールすると順位別の「等旗」の下に並ばされる。小学校の六年間、ついぞ一等、二等の晴れがましい「等旗」の下に並ぶことはなかった。

 その時、「えいこママ」のように、私の母もゴールまで私を見届けてくれたのだろうか。最下位の「等旗」の下に並ぶ私を、ひとり励ましてくれたのだろうか。観衆の多くは、俊敏な子が、体の大きな子を韋駄天のごとく抜き去ることにヤンヤの喝采を送る。しかもスケジュールの詰まった運動会では、大方の勝負がつくと観衆の目は、次のスタート組に移ってしまう。その時、まだ遅れながらも走っている子がいるのに。

 ビリを走るわが子をゴールまで見届け、応援し拍手してくれるのは「えいこママ」だけであろう。そのまなざしに、井上洋治著作選集6『人はなぜ生きるか/イエスのまなざし』(日本キリスト教団出版局)、に著わされた「アッバの悲哀のまなざし」が重なってくる。(寺田)

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