『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2018年4月号
出会い・本・人
人を嘘つきにするほどの古典を読みたい(エッセイ:久下倫生)
本・批評と紹介
- 『新・明解カテキズム』
全国連合長老会日曜学校委員会編、教文館―(吉村和 雄) - 『ふたりのスケーター』
ノエル・ストレトフィールド著、教文館―(徐奈美) - 『VTJ旧約聖書注解 出エジプト記1―18章』
鈴木佳秀著、日本キリスト教団出版局―(池田裕) - 『いのちの水』
トム・ハーパー作、新教出版社―(奥田知志) - 『コリント後書講義』
小川修著、リトン―(清水芳樹) - 『新版 祈りの精神』
P.T.フォーサイス著、キリスト新聞社―(小島誠志) - 『わが神、わが神―受難と復活の説教』
加藤常昭編、日本キリスト教団出版局―(小峯明) - 『落ちこんだら』
A.M.コニアリス著、ヨベル―(大坂太郎) - 『嵐と風と不思議なマント』
三木メイ著、キリスト新聞社―(西原廉太)
- 本屋さんが選んだお勧めの本
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編集室から
宗教改革から500年が過ぎ、最近では話題も聞かなくなってきた。ぜひ続けて盛り上がっていてもらいたいのだが、当の本人も次の企画を考えるのでいっぱいだ。せめてプライベートではこの歴史的な年にあやかってみようと、昨年末、カルヴァン先生の『キリスト教綱要』に挑んでみた。しかし、相手はキリスト教界の大著。しかも古典。冒頭のフランソワ一世への手紙から心が折れかけた。基礎知識も乏しい若造が、ひとりで読むのには手強すぎる……。ということで教会の同世代(20代)と、牧師を巻き込み読書会を開きながら少しずつ読み進めている。
「どうだった?」「よくわかんなかった……。」「なんだ、この回りくどい言い方は(カルヴァン先生、すみません)」と友人と愚痴をこぼしながらも、「次回までに○章まで読む」とノルマを決めてとにかく読み続ける。第一巻目も気づけばあと三分の一。牧師も毎回、解説の準備をして臨んでくれるのだから頭が下がる。読書会を進めながら気づいたことが、大著もみんなで挑めば怖くないし、何かと楽しいということだ。
若者に限らず読書離れが深刻と言われる昨今。理由の一つにスマートフォンの急速な普及もあるのだろうかと思っている。スマホと言えば、SNSをはじめ、常に誰か(何か)と繋がり続けられることが魅力の一つだ。一方、読書は何かと孤独になりやすい。もちろんそれが良いところでもあるのだが、デバイスを片手に常に誰かとの繋がりを求める現代人にとっては、読書はあまりにも孤独なことなのかもしれない。
では、読書も誰かとの繋がりの中で始めてみるのはどうだろうか。横並びに同じ本を持って、おしゃべりしながら本を読む光景がもっと広がっていてもいいと思う。ひとりでじっくりもいいが、「一緒に読もう」の一言で、生まれる何かがあるのかもしれない。「読書会」、20代からすると、すでに死語化しているようにも感じる響きだが、読書の楽しみを共に分かち合うこの文化も、「聖徒の交わり」のからもっと再興させていけたらと、ひっそりと思っている。(桑島)