『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2018年2月号
出会い・本・人
読書は本当に嫌いなのか?(エッセイ:落合建仁)
本・批評と紹介
- 『こころの賛美歌・唱歌』
大塚野百合監修、日本キリスト教団出版局―(小島誠志) - 『戦後70年の神学と教会』
新教出版社編集部編―(渡辺英俊) - 『主日礼拝の祈り』
越川弘英他監修、日本キリスト教団出版局―(宮﨑光) - 『二つの宗教改革』
H.A.オーバーマン著、教文館―(芳賀力) - 『ギレアド』
マリリン・ロビンソン著、新教出版社―(岸本和世) - 『松居直と絵本づくり』
藤本朝巳著、教文館―(菅田栄子) - 『信仰・希望・愛』
宮原守男著、教文館―(船本弘毅) - 『旧約聖書続編 スタディ版 新共同訳』
日本聖書協会刊-(廣石望) - 『神と人間のドラマ』
松本敏之著、キリスト新聞社―(大島力)
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編集室から
都市伝説の類かもしれないが、ウィンドウズ97が出た頃、インストラクターに「まずウィンドウズを開いてください」と言われて部屋の窓を開けたり、「マウスを右に移動」と言われて、「これ以上、机の余地がありません」と答えた人がいたという。もっと前には、「ファックスって今日中に届くよね?」と念押ししたオジサンがいたとも聞く。どれも真偽を確かめようもないが、初心者であった頃を思い出せば、誰もが似たような経験をしたのではないだろうか。
インターネットの普及で減りはしたが、以前当編集室には、「聖書はどこで買えるのですか?」という問い合わせがあった。「キリスト教書店か大型一般書店に行けばあります。町の本屋さんでも取り寄せてくれますよ」と事務的に答えてもよいのだが、おそらくキリスト教初心者であろう相手を慮って丁寧に応対した。というのも、電話の主は教会でしか聖書を入手できないと思っている可能性があるからだ。まさか、と思う人はキリスト教に慣れた人である。初心者にとって聖書は単なる古代文書ではない。立場を代えてみれば事情が分かる。たとえば「真言宗○○派勤行聖典」を入手したいと思ったら、檀家ではない者が購入できるのかどうか困惑するだろう。「仏教書店か一般大型書店に行けばありますよ」と言われたら、安堵と共に、ある種の宗教的期待感が削がれるかも知れない。
慣れてくると、初心者だった頃のトンチンカンな自分を忘れて「手ですることを足でする」ようになる。その点、コンピューター等の「取扱説明書」は良くできている。操作の第一に「電源プラグをコンセントに差し込む」と明記してある。笑ってはいけない。初心者を忘れていないのだ。文書伝道に携わる者として心に銘記しておきたい。(寺田)