『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
本購入の参考としてください。
2014年3月号
出会い・本・人
オリヴァー・オドノヴァン教授との出会い(加山真路)
本・批評と紹介
- 『「ハイデルベルク信仰問答」入門』L.D.ビエルマ編、教文館―(出村彰)
- 『信仰への道』加藤常昭著、教文館―(古屋治雄)
- 『ドイツ教会闘争の史的背景』雨宮栄一著、日本キリスト教団出版局―(河島幸夫)
- 『折られた花』M.ハーマー著、新教出版社―(池田恵理子)
- 『聖書は物語る』大頭眞一著、ヨベル―(正木牧人)
- 『「星の王子さま」からのクリスマス・メッセージ』髙橋洋代著、教文館―(斎藤惇夫)
- 『魂の養いと思索のために』D.K.マッキム著、一麦出版社―(吉田隆)
- 『新渡戸稲造事典』佐藤全弘ほか著、教文館―(湊晶子)
- 『マタイ福音書を読もう1』松本敏之著、日本キリスト教団出版局―(鈴木伶子)
- 『わたしの絵本体験』松居友著、教文館―(菊地知子)
- 『やさしさの暴走』岡山慶子編著、教文館―(朝日研一朗)
- 『ローマ書講義Ⅲ』小川修著、リトン―(菅原力)
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編集室から
世界最大の人道支援NGOである「赤十字」。イスラム圏ではこの赤十字に対し「赤新月」を使用するが、活動母体は一緒である。
昨年末、マレーシアに行ってきた。理由は、東アジアのイスラム教国を肌で感じたいと思ったから。同国では最近、上訴裁判所が、ムスリムではない人が神を表す言葉としての「アッラー」を使うことを禁じたというニュースがあったし、アジアで急速に経済成長を遂げるなかで、宗教がどのように市井の人々の中に息づいているのかに興味があった。中東や北アフリカのイスラム教国とも比べてみたかった。
首都クアラルンプールの繁華街は、街なかを歩く女性が頭髪や肌を覆い隠している以外は、東京の渋谷や原宿とあまり変わらない賑やかさという印象をもった。超高層ビルのペトロナスツインタワーが近代化の象徴のように高くそびえている。
タイのシルク王として知られたジム・トンプソンが謎の失踪をとげた高原地「キャメロンハイランド」へ向かうため、長距離バスに乗車していたときのこと。山中で、交通事故による渋滞という状況に遭遇した。現場にいた救急車には、「赤新月」が描かれていた。十字の形はキリスト教を連想させることから、イスラム教国では三日月形のマークを用いる。モスクなどの宗教施設よりも、こうした身近なところで感じる異文化が好きだ。
帰国後、赤十字運動は昨年、誕生から150年を迎えたということを知った。同じ時期にはアメリカの南北戦争もあったので、それからも約150年である。また、今年は第一次世界大戦が始まってからちょうど100年目でもある。こうした区切りの時期に、あらためて、赤十字のように、敵味方の区別なく負傷者の救護・看護にあたるという理念の意味を考えてみたいと思った。 (竹下)