【本のひろば】 2019年12月号

『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
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2019年12月号

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  • 出会い・本・人 「聴く本」が好き (エッセイ:原敬子)
  • 特集 「LGBT」を学ぶならこの三冊! 中村吉基
  • 本・批評と紹介
    • 『主イエスは近い』
      小泉健著、日本キリスト教団出版局―(上田彰)
    • 『すべてのものとの和解』
      E.カトンゴレ他著、日本キリスト教団出版局―(榎本恵)
    • 『近代日本にとってのキリスト教の意義』
      日本キリスト教文化協会編、教文館―(鈴木範久)
    • 『3分間のグッドニュース[福音]』
      鎌野善三著、ヨベル―(山﨑ランサム和彦)
    • 『バルト神学とオランダ改革派教会』
      石原知弘著、新教出版社―(佐藤司郎)
    • 『死のただ中にある命』
      近藤勝彦著、教文館―(左近豊)
    • 『アドルフ・フォン・ハルナックにおける「信条」と「教義」』
      加納和寛著、教文館―(安酸敏眞)
    • 『神の狂おしいほどの愛』
      松島雄一著、ヨベル―(大頭眞一)
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編集室から

 「せみよ/長い年月をもぐったからこそ/いまを深く もっとなけ」(中西智海)という歌に出会った。成虫としての蝉は、わずか2~3週間のいのちであるが、実際には長い年月を土中で過ごす。その幼虫期間は通常6~7年、北米の「周期ゼミ」という種は17年にもなるそうだ。それだけの長い年月を土中で過ごしてきた蝉を、子どもの頃、採って集めていたとは申し訳ない。

 格言に「蟪蛄(せみ)春秋を識らず」とある。蝉に春や秋を教えても分からない、転じて頑固者に宗教的真理を教えても信じないし、信じようともしないとの意味である。しかし、蝉は幼虫時代に何度も四季を体験している。十分な下積みを積んでいるのである。

 キリスト教詩人・石原吉郎(1915 ― 77年)が、詩壇にデヴューしたのは40才、論壇デヴューは57才の頃だった。日本基督教団出版局から、『断念の海から』を上梓したのが61才、その翌年彼は不慮の死を遂げる。古い著作の多くは、今では入手困難となっているが、丹念に探せばアンソロジーやセレクションは見つかる。彼の表現者としての期間は、蝉のように短かかったが、長い年月を地中にもぐってきた思想は、今もなお仲間を求めて深くないている。(寺田)

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  6. ▼シリーズ この三冊!
    日本でキリスト教の黄金時代を本気で始めるためにこの三冊!

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