【本のひろば】2015年5月号

『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
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2015年5月号


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出会い・本・人

寄留者として読んだカルヴァン(三好 明)

本・批評と紹介

  • 『虹の約束』 小島 誠志 著、教文館―(広田 叔弘)
  • 『日本史におけるキリスト教宣教』 
    黒川 知文 著、教文館―(中村 敏)
  • 『死と向き合って生きる』 
    平山 正実 著、教文館―(柏木 哲夫)
  • 『ユダヤ慈善研究』 田中 利光 著、教文館―(中村 信博)
  • 『逆境の恩寵』 徳永 徹 著、新教出版社―(斎藤 正彦)
  • 『高倉徳太郎日記』 秋山 憲兄 編、新教出版社―(雨宮 栄一)
  • 『天笑人語』 山北 宣久 著、日本キリスト教団出版局―(木下 宣世)
  • 『心打たれて生きる 112の物語』 
    アンシア・ダブ 著、聖公会出版―(廣戸 直江)
  • 『ユーカリスト』 
    ウィリアム・クロケット 著、聖公会出版―(越川 弘英)
  • 『イザベラ・バードと日本の旅』 
    金坂 清則 著、平凡社―(諫山 禎一 郎)
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編集室から

 日本のカトリック教会にとって今年は二つのことにおいて記念すべき年である。2月5日にキリシタン大名の高山右近没後400年を迎え、3月17日には「日本の信徒発見」150年を記念するミサが長崎の浦上天主堂で執り行われた。

 浅学非才な私でも「高山右近」という名前には聞き覚えがあるが、知っていることと言えば、彼がキリスト教に入信したキリシタン大名であり、江戸時代に幕府から出された禁教令によって国外に追放され、そのまま海外で亡くなった、といったことぐらいである。

 実際にはどんな人物だったのだろうか? そんなことを考えていたら、本誌(4─5頁)で紹介されている黒川知文著『日本史におけるキリスト教宣教── 宣教活動と人物を中心に』の81─ 86頁に「宣教にささげた人」として高山右近のことが取り上げられていた。詳しいことは同書に譲るとして、私が改めて心に留めたのは彼がキリスト教の信者になったのは、ただ物珍しい西洋の文物に対する憧れや南蛮貿易で利益を得ようとしたためでは決してなく、本当にキリスト教の教えを真理として受け入れた、ということである。没後400年を迎えた今年、高山右近はカトリックで「聖人」に次ぐ崇敬の対象である「福者」認定の期待が高まっている。

 「日本の信徒発見」は、江戸幕府の厳しい弾圧の中で二百数十年間も信仰を守り続けた浦上のキリシタンがパリ外国宣教会
の二代目日本教区長のプティジャン神父に自分たちの信仰を打ち明けたことがきっかけであった。

 幸いなことに今の日本は江戸時代と違って「思想」「良心」「信教」の自由が憲法で保障されている。一人の殉教者も出さない社会がこれから未来永劫続くように日本国憲法の精神が受け継がれていくことを切に願う。 (中川)

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