【本のひろば】2014年9月号

『本のひろば』は、毎月、キリスト教新刊書の批評と紹介を掲載しております。
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2014年9月号


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出会い・本・人

読む、生きる意味を求めて(古橋昌尚)

鼎談

『復刻・日本基督一致教会信仰ノ箇条』
教文館―(関川泰寛、五十嵐喜和、安田直人)

本・批評と紹介

  • 『天の国の種』B・B・テーラー著、キリスト新聞社―(香山リカ)
  • 『聖書入門』アンゼルム・グリューン著、キリスト新聞社―(加山真路)
  • 『現代聖書注解 ローマの信徒への手紙』P・アクティマイアー著、日本キリスト教団出版局―(越川弘英)
  • 『ヨハネの黙示録を読もう』村上伸著、日本キリスト教団出版局―(南 吉衛)
  • 『聖書入門』落合建仁ほか著、日本キリスト教団出版局―(嶋田順好)
  • 『私は戦争のない世界を望む』アルノ・グリューン著、ヨベル―(富田正樹)
  • 『核時代における人間の責任』宗藤尚三著、ヨベル―(川上直哉)
  • 『恵み深い主に感謝せよ』黒木安信著、教文館―(関田寛雄)
  • 『天地創造物語』及川 信著、教文館―(生原美典)
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編集室から

 米国の国民的歌手ボブ・ディランの代表作「ライク・ア・ローリング・ストーン」(1965年)の歌詞が書かれたオリジナルの直筆原稿が六月二四日ニューヨークのサザビーズ競売に掛けられ、204万5千ドル(約2億860万円)で落札された。歌詞はホテル備え付けのメモ用紙4枚に鉛筆で記されており、校正の跡のほかに注釈や絵が書きこまれている。

 ディランの初期の作品に「風に吹かれて」(Blowin’in the Wind)というのがある。政治的抗議のメッセージを投げかける問いかけと抽象的な問いかけが交互に繰り返されるこの歌はピーター・ポール&マリーのカバーによって世界的に大ヒットし、作者のディランを一躍有名にした。また1960年代のアメリカ公民権運動の賛歌とも呼ばれ、現在に至るまでディランの作中最も愛唱されることの多い歌曲となっている。

 ウクライナ国内での親欧米派と親ロシア派の戦闘とそれに巻き込まれた形でマレーシア航空機が撃墜された悲劇。パレスチナのガザ地区で繰り返されるイスラエル政府とイスラム原理主義組織ハマスの報復合戦。いまだに政情が安定しないイラクとアフガニスタン。泥沼化するシリアの内戦。……。このような国際紛争の報道に接すると本当にいったい殺戮行為をやめさせるにはどれだけ多くの人が犠牲にならなければならないのか、という暗澹たる気持ちになってしまう。

 「風に吹かれて」では発せられた問いかけに対する具体的な答えは示されていない。それではあんまりだと私には思われるので、最後にその答えをつかむための手がかりとなる言葉を紹介しておきたい。

「戦争は〈神の名において〉、つまり〈神学的〉正当化をもって行われる。このような正当化こそ偶像崇拝である。……神学の基本的機能は一つの偶像の正体を暴露することである。」(小山晃佑著/森泉弘次訳『富士山とシナイ山』4頁)

(中川)

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